
食の健全性の追求は人の幸福追求の基本であり、福祉の概念に一致します。近頃では、安全だけではなく老化の抑制や疾病の予防・回復などの予防福祉的な観点からも、どんな食行動や食環境を整えたらよいかの研究が進んでいます。このコースでは「食と人との幸福な関係」を築くための知識と技術を学び、将来的に企業や公的な場で食を通じて社会に貢献する人材を育成します。
私が担当している「食品衛生実習Ⅰ~Ⅲ」の授業は、2年次から4年次まで通年で連続して履修します。授業では、食品成分や食品添加物の分析、食中毒原因菌の定量、残留農薬や環境ホルモンの解析法などについて、知識と技術を学びます。さらに食べ物と健康の関わりについてグループ研究を進め、パワーポイントを使ったプレゼンテーションの仕方についても学んでいきます。
このコースで所定の単位を修めれば、卒業時には「食品衛生監視員任用資格」と「食品衛生管理者任用資格」が得られますが、「食品衛生監視員」とは、保健所や検疫所など公的な検査機関で働く「食の安全を守るおまわりさん」です。これに対して「食品衛生管理者」は、食品を作ったり売ったり場で安全を監視・管理する人で、きちんとした物を世に出して行く責任が伴います。この資格は学んだ技術を活かせる有効な資格で、卒業生の多くは食品関連企業に勤めていますし、青年海外協力隊員になって現地の指導員をしている人もいます。いずれにしても人の命の根源に関わる大事な仕事ですから、学生には基本のキの字からきっちり学んでほしいと思います。

さて、実習を通してぜひ身に付けてほしいことがですが、まず、段取りをよくすること。そのためには全体の流れをつかむこと。それから、失敗したときにはすぐに対処法を考えること。また、仕事には「効率性・正確性・迅速性」が要求されることを知り、持ち前の人柄のよさに加えけじめをつけて仕事もキチンとこなせるようになることです。幸いにも学生たちの実習態度はとても真摯で、はつらつとした前向きな姿勢に感動することが多いんですよ。
総合的には、「何を学んだら人の幸せに貢献できるか」ということをいつも意識の片隅において、そこに向かって自己実現をはかってほしい。それが自らの生き方を輝かせることにつながります。
私は「薄っぺらな生き方をしてほしくない、薄っぺらな人間にはなってほしくない」というこのメッセージを我が子同様に学生たちにも送り続けていきたいと思います。

福祉と「食」との関わりを実験を通して学ぶ充実の日々
以前は「福祉」というのは、高齢者を対象にしているものだと思っていました。でも福祉大で学ぶうちに、子どもから高齢者まで、私たちも含めて全ての人にあてはまる学問なんだ、ということがわかってきました。
楽しい授業は「食品衛生実習」です。ハムやソーセージに含まれる水分、灰分、粗脂肪などの量を調べ、教科書やラベルと比較する実習を行っています。福祉大は文系の大学なのに、みんなが白衣を着て集まるので、実習室は理系の雰囲気。とても新鮮ですよ。それに、初めのうちは、「福祉」と「食」との関わりってどんなものなのか漠然としていたんですけれど、このコースで学ぶうちに答えが見つかった気がします。私たちが心身共に健康で、安定した生活を送る上で、いかに「食」が大切かということが、はっきりわかってきたんです。
「食」の面から老化抑制や疾病予防・回復に取り組みたい
私はこれから食品衛生管理者、食品衛生監視員、第一種衛生管理者、社会福祉士、訪問介護員2級の資格を取得したいと思っています。本人の頑張り次第で、世の中に役立つ資格がたくさんとれるのもいいですよね。そして将来は「食」の面から、老化の抑制や疾病の予防・回復などを追求していきたいと思っています。
長い伝統を持つ福祉大には、充実した環境が整っていますし、「机に向かっての勉強だけではなく、実習の中で学んだことを生かす」という「行学一如」の精神のもと、さまざまな体験や実践ができます。自主的なボランティアも単位として認められるんですよ。
これから入学される新入生のみなさんも、目標を持って、生き生きとしたキャンパスライフを送ってください。きっとたくさんの収穫があると思いますよ。
★:卒業後1年間の実務経験を積む事によって得られる任用資格
☆:卒業後、1年以上社会教育主事補にあったものが、社会教育主事任用資格取得