福祉心理学専攻
クライエントとの面接は「舞台」。全神経を集中させてその場に挑む。
遊戯療法を通して子どもの心が見えてくる
大学院の福祉心理学専攻には2つの分野があります。1つは福祉心理学分野、もう1つは臨床心理学分野です。福祉心理学分野では、広く福祉に携わるにあたって、心理学的アプローチができる人材の育成を目標にしています。一方臨床心理学分野では、心に何らかの悩みや不安を持っている人の心理アセスメントと心理面接を行い、その人の心の特徴をつかんで、心の変容を目指すプロを養成します。
私の専門は臨床心理学ですので、心理療法の一つである「遊戯療法」についてお話ししましょう。これは思春期前半までの子どもを対象に行われる療法です。大人は心の動きを言葉で表現することができますが、子どもはそこまで至っていません。子どもは言葉の代わりに遊びを通して表現することが多いんです。
例えば、お父さん、お母さん、子どもの3つの人形を使って、ままごとをするとしましょう。その中でお母さんがいやに子どもに厳しく当たるとします。これがその子の日常経験なのです。我々は一緒に遊びながら、問題に気づき、場合によっては親の協力もしてもらいます。子どもの問題の背景にあるのは家族関係がほとんどですが、高学年になると友人関係も現れてきますね。
心をどう引き出しどう読み取るか。大学院で深く学ぶ

カウンセラーにとって面接室は、俳優で言えば「舞台」です。カウンセラーは、全神経を集中させてクライエントと共演する舞台に挑みます。「遊戯療法」は表面だけ見ていれば普通の遊びのようですが、我々は科学的視点を持って行っています。まず、クライエントの問題は何か、それを解決するにはどのような方法が合理的かという「見立て」(目標)を持ちます。遊戯療法の重要な点は、子どもを「遊ばせる」のではなく、いかに子どもに「遊んでもらうか」です。子どもがカウンセラーに心を開く関わりも大切ですが、「遊び」を通じてカウンセラーとクライエントとの心の相互作用が遊戯療法の質を決めます。そのためにはカウンセラーは、常に「見立て」に基づいた「遊び」につきあうよう心掛けます。
子どもの場合をお話しましたが、大人は、言葉を中心に行います。「見立て」と「面接過程」は、「ズレ」ますので、それを「カンファレンス」で深く学んでいきます。
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