お知らせ

2009年9月2日(水)

東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
「SERIZAWA:Master of Japanese Textile Design」展リポート

会期:2009年10月9日(金)~2010年1月17日(日)

東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館は、現在ニューヨークのJapan Society Galleryで「SERIZAWA:Master of Japanese Textile Design」展を開催しています。

海外における芹沢銈介展は、1976年~77年にパリ・グランパレで開かれたのを最初に、1977年78年にはアメリカのラホヤ展、1997年~98年のリバサイド展、サンディエゴ展、そして2001年のエディンバラ王立博物館で開催された展覧会、2006年~07年のロシア国立エルミタージュ美術館展と続き、のびやかで清々しい文様と美しい色彩美が多くの人々を魅了しました。

今回はニューヨークで開かれる初めての展覧会となりました。エディンバラの展覧会開催の英国側責任者として尽力くださったJoe Earle氏のすすめにより、氏が館長をされているJapan Society Galleryでの開催が実現したのです。

2007年から準備開始。作品選定、展示レイアウト、国内借用作業、図録作成、輸送と、常に連絡を密に取り合いながら展覧会開幕を迎えました。

展覧会は、当館所蔵作品が核となり、静岡市立芹沢銈介美術館、日本民藝館、柏市、個人所蔵家からの借用を含めた124点(100件)で構成されました。着物、帯地、のれん、壁掛、屏風、軸、額絵、絵本、装幀本の中から代表作が選ばれました。

9/5~7の梱包作業、9/8の作品搬出、そして9/11には作品が無事ニューヨークに搬入されました。当館学芸員2名が渡米し、Japan Society GalleryのArt Handllerと協働の展示作業が10日間かけて行われ、最後の仕上げとなる照明で展示が完成しました。

10/6には大学関係者と展覧会見学ツアー参加者がニューヨーク入り。所蔵家や研究者、プレス関係者やJapan Society 会員、アメリカの美術館関係者、宮城県人会と一般参加者のために、3日間連続の内覧会と華やかなオープニングレセプションが開かれました。

Galery内は、作品の寸法にあわせてケースが新たに制作され、部屋ごとに壁の色が変えられました。最初の部屋はレンガ色で、戦前の落ち着いた配色の作品がさらにしっとりと潤いある雰囲気を作っていました。歩を進めると萌黄色の壁に、藍色ののれんが映え、次の部屋では、黄土色の壁に春夏秋冬などの文字絵作品の美しい色が際立って見えました。最後の広いスペースは、利休鼠色の壁で、独創的な芹沢デザインの屏風と着物が一堂にならび、交響楽を奏でているような調和を感じました。展示レイアウトは専門デザイナーが担当しました。図面上でレイアウトを練り上げてきましたが、オープニングレセプションで、彼は出来上がった展示に満足し、興奮気味に「すばらしい作品の仕事ができてうれしい」と語っていました。照明は、スポットを多用し、1点1点の芹沢作品のデザインと色彩の鮮やかさが際立つ、それでいて静謐な空間を演出する展示構成でした。当館でいつも見慣れている作品が新鮮な輝きを放って見えました。レセプションに参加した人々も、しきりに「美しい作品と美しい展示」「デザイン力の素晴らしさ」を讃えていました。

展示風景

展覧会図録

また、Yale大学出版局から展覧会を記念して図録が刊行されました。全134ページで展覧会出品の全作品を網羅しています。1冊 35ドル。ISBN 978-0-300-15047-6

日米の6人の研究者のEssayが掲載されています。

監修:Joe Earle
Essay:
Hiroshi Mizuo [Serizawa Keisuke An Appreciation]
Terry Satsuki Milhaupt[In the Guise of Tradition Serizawa Keisuke and His Electic Designs]
Matthew Fraleigh:[Crafting a Japanese Don Quixote]
Amanda Mayer Stinchecum[Serizawa Keisuke and Okinawa]
Kim Brandt[Serizawa Keisuke and the Mingei Movement]
Shukuko Hamada[The Art of Serizawa Keisuke]

10月9日(金)に展覧会が開幕しましたが、1週間後の10月16日に「The New York Times」に、10月26日には「studio international」に、11月3日には「City Arts」に展覧会評が相次いで掲載されました。

「彼の作品は視覚的でありながら機能的、装飾的でありながら表現力にとみ、モダンでありながら伝統的でもある」「展覧会はどこかノスタルジアを感じさせる雰囲気」

「(スペインの騎士の話を日本のサムライに翻案した彼の作品『絵本どんきほうて』をあげて) 彼自身が、日本の工芸の美しさと気高さを守るドン・キホーテだったのだろう」

「エレガントなギャラリースペースは、どの部屋も静かなオアシスのようだ」「訪れた人々は、そこに日本、中国、韓国、ケルト民族、アラブ、インド、ネイティヴ・アメリカンの文化がこだまするような思いを抱くだろう」「(抽象文の着物について)パウル・クレーが着物のデザインをしたら、このようなデザインになっただろう」など・・

YouTube「Japan Society NYC」からのレポート映像

前のページへ戻る