Tohoku Fukushi University

 本研究では、教育効果・職業訓練・パーソナリティ等の要因がいかにして認知・脳機能をダイナミックに変容させるかを、心理・行動データ(河地グループ)及びMRI脳イメージング(成グループ)により計測・評価します。そのために、年齢や職業経験などの点で異なる集団間を比較する横断的研究(藤井グル-プ)と大学在籍期間の数年にわたって追跡する縦断研究(河地及び成グル-プ)とを行います。

 これらの研究において、まず示したい事は、長年にわたる経験・訓練を経た人達の持つ職業的能力、若い人の職業適合性テストで用いる能力カテゴリー、訓練からくる取得能力特性などが、いかに脳の機能マップに表現されるかです。教育・訓練がもたらす脳内変化(脳の可塑性の現れ)の測定が教育効果の脳表現を見出すのに、大きな役割を果たす。このような研究成果を、社会的・職業的能力を育成する教育プログラムの改善支援へとつなげる事が本戦略研究の目的です。

 26年度は心理・行動データの取得方法の検討と、対応するMRI測定の為の大勢の被験者をつのる手続きがなされ、MRI実験で用いるいろいろな測定法のテストなどが行われました。27年度からは、行動データ取得や、いくつかのプロジェクトでMRIの初期的測定が始められており、MRIでは、さらに新たな測定法による新たな知見獲得を常に検討してきています。

 ヒトの能力を見ようとする本研究における心理・行動課題への応答及びMRIの脳機能測定においては、いうまでもなく個人差が問題になります。スキルの“有/無”の集団などでの比較では、まず集団平均のデータを求めるわけですが、そこで見る個人差(平均値からのずれ)が意味するところは、興味深いが難しい問題です。

 一方、個人個人での経時的(縦断的)測定で追跡される訓練による能力特性の変化では、同じ脳を測り比較するゆえに個人差問題が議論し易く、その結果に大きな期待が寄せられます。これらの研究においては、勿論、個人情報の管理に万全を期さねばなりません。

 本支援事業の進展とともに望まれることの一つは、教育現場との協調努力です。実際に行われている教育過程で、その目的に対応した生徒の成長とそれら生徒の脳機能表現の変化とを合わせみることから、その教育効果を画像上に可視化出来れば、クラスでの教育指導法の理解に資することになるでしょう。

研究代表者
東北福祉大学 特任教授 小川 誠二