【教員クローズアップ】工藤健一 准教授

労使関係から介護労働にシフト

工藤准教授の研究分野から時代の移り変わりが見えてくる。

学部、修士で学んだ日本企業における労使関係や労働問題研究では、日本の産業界全体を追いかけていた。

例えば、高度経済成長期真っただ中にある重厚長大産業の代表格・八幡製鉄における「内部労働市場戦略としての職務」を研究した単著に見られる。

それから、大学院修士2年次の2000年に介護保険法が施行された。時代は、産業社会から社会保障分野に移りだした。当時、師事していた恩師の介護労働に係る研究プロジェクトに携わるチャンスを得て、研究対象を広げるきっかけにもなった。

モノづくりとも違う「人間対人間」のパワーを感じる

4年間在籍した大学院博士後期課程を休学し、社会福祉法人の運営に携わる機会を得た。3年間、法人本部の一員として、特別養護老人ホームや居宅介護支援事業所、デイサービスセンター等の立ち上げと運営に関わった。現場で働く方々の姿から「人間対人間」の仕事の生々しさ、迫力に圧倒されたこともあった。ケアの理念1つを取っても複雑に入り組んでおり、何事も理論通りに行かないことを痛感させられた。

介護の現場では、人間の生々しさが剥き出しになり、理論、理屈だけでは通用しない世界があるという現実を目の当たりにした。そこから、「人は何のために働くのか、協働するとはどういうことなのか」といった労働の本質を考えるようになった。

やがて「人は他人に遠慮して言えなかったり、何かを言わずに伝えようとすることもある。表出された言葉がすべてではなく、内面に思いを馳せるようにする」ことに思い至ったという。 

エレキギター、読書、バイク旅行…好きなことにのめり込んだ学生時代

今でこそ大学の教員という肩書を持つが、高校、大学時代には想像もしていなかった。なぜなら自由気ままに青春を謳歌していたからだ。

打ち込んだものは特に3つあった。1つはエレキギター。神様ジミ・ヘンドリックスとビートルズのジョン・レノンに憧れ、来る日も来る日も練習に明け暮れた。2つ目は読書。二十歳のころに、春樹と龍のダブル村上の小説に夢中になった。

最後は旅行。250CCのバイクにまたがり、仲間と共に3週間の北海道1周を敢行した。茨城・大洗港からフェリーに乗って苫小牧へ。ライダーハウスで寝泊まりした。今思えば怖いものなしだった。青春時代の良き思い出だという。

5年目を迎えたベトナムでのインターンシップ

現在はキャリアデザイン関連の授業を持ち、就職を支援する本学キャリアセンターのスタッフとしても学生を見つめる。

2012年に始まった東北福祉大学の海外インターンシップがある。東南アジアの発展著しい国・ベトナムで、学生は日本人が現地社長を勤める日系企業や病院、福祉施設、平和村などに約2週間滞在し、研修に取り組む。行く前と行った後で学生に確かな変化が認められるという。

どのような変化かというと「物事に積極的になる」点だ。異文化に接し、異文化コミュニケーションを深めることを通じて自分のイメージからの脱皮、ひと回り成長した姿が浮かんでくるという。

結果、学外の海外派遣プログラムに応募する学生や、フィンランドに長期留学を果たす学生も現れた。学生一人ひとりの可能性、充実感につながることが彼らの財産になる。

就活は厳しくも、粘り強さを身につけるプロセス

一昔前は若者が挫折体験をすることはごく当たり前だった。ところが、今や時代は完全な母性社会。優しさが社会全体を包み込んでいる。このまま、社会に出るのかというと、その前に、大きく立ちはだかるのが就職活動である。人によっては活動が数十社に及ぶのは普通で、ことごとくはねつけられる現実に直面することになる。しかし、諦めてはならない。必要とする企業や会社が必ずあることを信じて行動あるのみ。

学生時代から寄り道を重ねて、それが今日に生かされていることを感覚的に知る工藤先生だけに、「ネバーギブアップ」の精神が、全身からにじみ出ている。そして、いずれ、花を咲かすことを学生に粘り強く訴え続けている。

工藤 健一(くどう けんいち)

教員業績

職階

准教授

研究分野

労働問題、介護労働、福祉マネジメント

担当教科
リエゾンゼミⅠ(基礎演習)、リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)、専門演習Ⅰ、Ⅱ、人事管理論、雇用関係論、サービスマネジメント論、インターンシップⅠ・Ⅱ、キャリアデザインⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Study Abroad A(アジア)、マネジメント基礎論(オムニバス)、地域活性化マネジメント論(オムニバス)、MANGAメディア論(オムニバス)

研究内容
介護労働、介護経営について、職務遂行能力を軸にした人材マネジメントの観点から研究を行っている。経営体としての介護施設等を多職種の組織労働という面を重視して実態を把握するとともに、理論的検討を重ねている。介護施設のマネジメント論や福祉マネジメント論における、特に人材マネジメントの領域や、組織設計の在り方についての研究領域に寄与することを目指す。

高校生に向けて一言
大学に入るとやりたいことをやれる時間があります。何をやるにも、貪欲に面白いと思う自分を見出してほしい。ゴールに至る前の回り道もよし。例えば何かの本を読めば、ときを超えて自分とは異なる他人の視点で世界を見たり、疑似体験したりすることができます。そういうことに貪欲であり、面白いと思える自分であってほしいと思っています。

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