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芹沢銈介作品 「壺屋窯出し文着物」




紬地型絵染
1950年
155.0×127.0

 沖縄壺屋の窯場の風景です。登り窯から出したばかりの陶器を板に乗せて運ぶ陶工、腰には煙草入れが揺れています。右横にはひざまずいて壺をささげ持つ女性が描かれています。二人は夫婦なのでしょうか。サトウキビがまわりを囲みいかにも沖縄らしい雰囲気を醸し出し、藍と黄色という渋い配色なのですが、とても晴れやかな着物です。

 芹沢は1939年4月、あこがれ続けた紅型を求めてはじめて沖縄に渡りました。「紅型を通じて沖縄の生活のさまざまな顔を知り、感心すること、驚くことが多かったですね」(1)と後年語るように、紅型が持つ不思議な模様の世界、そして美しい色や材質の根源には「染技以前の心が籠もる」(2)ことに思い至りました。だからこそ沖縄各地を旅して、独特の形をした工芸品や市場の風景、道行く人々の姿、そして窯場の風景など沖縄の人々の生活そのままをスケッチ帳に納めたのでしょう。1939年の沖縄行きに同行したメンバーの中には柳 悦孝(やなぎよしたか)もいました。芹沢が静岡から東京・蒲田に移り住んだ翌年の1935年7月、隣に工房を建てて家族ぐるみで親交があった染織作家です。柳は一緒に沖縄で過ごした当時を思い出して、「その時の芹沢さんの精力的なデッサンといったらすごかったですね。何んでも片っ端からスケッチしてそれも早いのなんのびっくりしましたよ」(3)と語っています。このように精力的に描いたスケッチをもとに、沖縄に取材した芹沢作品が次々に生まれたのです。

 当館は同じ型紙で染めた「壺屋窯出し文壁掛」を所蔵していますし、静岡市立芹沢銈介美術館にも同じ文様の間仕切りがあります。しかし、着物に染めたのは珍しい例といえます。

【引用文献】
(1)『芹沢銈介全集』第2巻 月報7 1981 中央公論社
(2)芹沢銈介著『琉球の形附』 1943 日本民藝協会
(3)『芹沢銈介全集』 第8巻 月報6 1981 中央公論社

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