1. ホーム
  2. 作品・コレクション
  3. 収蔵品紹介
  4. 芹沢銈介作品「華の字のれん」

芹沢銈介作品「華の字のれん」


木綿地型絵染 1960年 121.0×75.0㎝


木綿地型絵染 1960年 124.5×87.0cm
2003年度収蔵作品

 2点の「華の字のれん」を取り上げましょう。どちらも楷書の華の字を大きく、のれんの真ん中に配置した堂々としたのれんです。芹沢銈介は型絵本五部作の中の一冊・『のれん集』(吾八刊 限定200部1965)で、「のれんの仕事に自己を発散させている」こと、「のれんは本来単純直截を旨とする」ことを述べています。牡丹の華なのでしょうか、美しい大輪の華が咲き誇り、まさに単純直截でのびのびとしたのれんです。両者が使用した型紙は同じなのですが、染色工程が異なっています。

 上ののれんは、型付けをした後、真紅一色で色を差し、水洗いして糊を落としたら、再び華の字部分を糊伏せして、文様が地色で染まらないようにします。次に藍甕の中に入れて、地色を濃藍に染め、乾いたら再び水洗いして伏せ糊を落とします。真紅の華の字がくっきりと浮かび上がり、一目で引きつけられるのれんです。

 下の白地ののれんは、布目がつぶれるほど胡粉(ごふん)を何度も引き重ねて仕上げた真っ白の木綿地に、華の字の型紙で糊を置き、糊が乾いたら、朱、臙脂(えんじ)、黄土、白緑の顔料での色差ししています。華の字の一画一画を、色を変えながら筆を運ぶようにしっかりと色差ししています。白さが際立ち、こっくりとした味わい深いのれんです。パリ展開催に当って作成された「芹沢銈介作品資料カード」の中に白地の「華の字のれん」がありますが、4月3日~15日まで大阪・梅田の阪急百貨店で開催された「芹沢銈介 人と仕事展」出品と記し、さらには「パリ展・藍地のものを出品(紬二布 121×72.5㎝)」とあります。確かに展覧会には藍地のものが出品されましたが、フランス国立美術館連合が編集・出版した図録(No.47)には白地のものが取り上げられています。白地の「華の字のれん」は、当館所蔵以外に個人蔵と大阪日本民藝館所蔵作品が確認できますが、藍地の「華の字のれん」とくらべると稀少です。

本日開催の展覧会・イベント