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芹沢銈介作品 「山の字のれん」


マダ布地型絵染 1968年 132.3×71.0

 堂々たる大きな山がそびえ、細い9本の松の木が生えています。山の下には雲が三筋、リズミカルに流れてゆきます。山と松の木、雲は布地素材の薄茶色を生かして、周りを藍で染め上げました。よけいな色を使わずに、神々しい山の姿が湿潤な水墨画のように印象的に浮かび上がります。

 麻よりもざっくりとした張りのあるのれんの素材は、マダ布です。マダ布は、落葉高木のシナノキの中皮を糸にして織り上げた樹皮布で、科(しな)布とも呼ばれます。東北地方ではマダ、モワダ、マンダと呼ばれました。マダ布は時間とともにその風合いや艶をまし、軽くて通気性が良く、水にぬれるとさらに強くなるという布です。

 芹沢は様々な素材を選んで作品を作りました。木綿、麻、マダ(科)、芭蕉、絹、さらに和紙も染めました。「いい布地が手に入ったりすると、これにはこんな型をつけてみたいとかいふ具合に逆に模様が布地から生まれてくることが往々ありますよ*」と語っているように、いい布地を手に入れた芹沢は、テマヒマかけて作られた貴重な素材を生かすために、シンプルに山の字を染め上げたのでしょう。

*『月刊民藝』第2巻1号 1940

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