この研究は東北大学大学院医学系研究科(公衆衛生学分野:辻一郎教授ら)と被災自治体の共同事業である被災者健康調査に、東北福祉大学も研究協力を行い、その成果をまとめたものです。
宮城県沿岸部に居住する東日本大震災被災者(18歳以上、2,776名)の内、有効な回答が得られた2,398名を対象として、居住住宅の種類(震災前と同様、プレハブ仮設住宅、新築/賃貸などの3つに区分)と歯の痛みの発生の関連について検討しました。
歯の痛みは5年間の調査を通じて、延べで3.6%の人に認められました。プレハブ仮設住宅の居住者で最も多く、4.5%(181名/3,951名、震災前と同様:2.3%‐61名/2,674名、新築/賃貸など:3.3%-72名/2,161名)で、特に震災直後の第1回調査時(2011年6月~9月)に顕著(7.9%‐45/568名)で、リスクが約4倍高いことが示されました。また、参加者の中で歯科検診を受診した人(1,446名)で同様の解析を行い、歯の問題(虫歯や歯肉の出血の有無、治療の必要性)を考慮した場合でも、プレハブ仮設住宅居住者においては歯の痛みが多いことが認められました。
歯の痛みは一般的な歯の病気(虫歯や歯周病など)だけでなく、ストレスでも引き起こされることが知られています。本研究は、居住環境と関連したストレスで、「歯の痛み」が一過性に増加する可能性について、初めて報告したものとなります。震災直後のストレスは様々な問題を増加させますが、震災後には歯の痛みも同様に増えることを認識して対応する必要があることを示しています。