2018/10/15 福祉心理学科

【卒業生インタビュー】田中多恵さん(平成20年 福祉心理学科卒)/ 臨床心理士 / 会津児童園・心理士

卒業生インタビューでは、様々な業界で、福祉心理学科で習得した心理実践力を活かし、活躍している卒業生にスポットを当てて紹介します。

本学の総合福祉学研究科福祉心理学専攻(臨床心理分野)は、臨床心理士指定大学院として1999年にスタートしました。これまで、臨床の現場で働く多くの心理実践家が育っています。今回の卒業生インタビューでは、学部と大学院の6年間を本学で学び臨床心理士の資格を取得して、現在、福島県の会津児童園で心理士として活躍されている田中多恵さん(平成20年卒 宮城県出身)に学生時代のこと、お仕事のことなどを伺いました。

— 臨床心理士になろうと考えたきっかけを教えてください。

高校3年生の時にカナダのプリンスエドワード島に1年間留学しました。地元の高校に通いましたが、英語でのコミュニケーションに苦労し、加えて内気な性格もあって友達もできず、特に最初の3ヶ月は苦しかったです。私が通っていた高校には2名のスクールカウンセラーが常駐していました。ある時、スクールカウンセラーの先生が最近の様子について尋ねてくれた時に、留学して初めて自分の素直な苦しいという思いを口にすることができました。自分の抱えていた気持ちを口にした時に自然と涙が出てきて、心がすっと軽くなるのを感じました。留学に来る前の将来の目標はファッション業界で働くことでしたが、この体験により日本の学校にもスクールカウンセラーが必要だと思い、帰国したらスクールカウンセラーになれる勉強をしようと考えるようになりました。

— 学生時代の思い出や、学生生活を通して学んだことを教えてください。

大学に入学してからはお世話になった先生達の勧めもあり、アメリカやスロベニアへの短期留学に参加し、さまざまな経験をすることができました。先生達との出会いにより国際交流に参加でき、そこでの経験を通して自分の世界がさらに広がったと感じました。学業の面では、卒業論文を書いたことが特に印象に残っています。自分で問題を見つけ、調査をし、結果を出し、それらを論文として文章にまとめる作業は大変でしたが、この時の経験は社会に出て働いている今も大いに役立っています。大学での様々な活動の中で難しい課題に直面することもありましたが、投げ出さずに本気で取り組み続けると力を貸してくれる人が現れたり、試行錯誤する中で得られるものがあるのだと感じました。これらのことを踏まえて大学での4年間を通して、私は「人との出会いによって自分の世界は広がっていくこと」、「自分の考えを表現することの難しさと大切さ」、そして「本気で取り組むことの楽しさ」を学びました。

— 児童養護施設ではどのようなお仕事をなさっているのですか?

児童養護施設には、さまざまな理由で保護者と一緒に生活できない子ども達(2歳〜18歳)が生活しています。私は児童養護施設で心理士として勤務をしています。主な仕事の内容は、入所児童への心理療法、子どもたちの日常生活のお世話を担当している職員(保育士・児童指導員)とのコンサルテーション、入所児童への心理検査の実施、ケース検討会議への参加、入所児童への心理教育等を行っています。ここ数年は入所する理由として児童虐待が増えており、児童虐待によって傷ついた子どもたちが数多く入所しています。そのような子ども達の心の奥にある怒りや悲しみといったさまざまな感情や思いに理解を示し、受け止め、子どもたちの気持ちが安定していくように心理療法を行っています。

— 仕事をする上で、大切にしていることはありますか?

日常生活が不安定だと、いくら心理療法を行っても子どもたちの気持ちは安定しません。毎日の生活があってこその心理療法だと考えているので、子どもたちが安定した生活をおくることが重要だと考えています。そのため、子どもたちのお世話を担当している職員とのコミュニケーションをとても大切にしています。子どもたちの日頃の様子について尋ねたり、担当職員からの相談に乗ったりして、連携を深めています。入所している子どもたちの大半は、それまでの人生において自分の意思が大事にされてこなかったと思います。施設での安定した生活の中で、子どもたちが体も心も健やかに成長し、自分の意思で自分の人生を歩けるようになってほしいと思っています。そこを目標において日々の仕事に努めています。

— 後輩へのメッセージをお願いします!

社会に出る前の大学での4年間を十分に満喫してほしいと思います。大学ではいろいろな分野の授業を受けられますし、レポートを書いたり、卒業論文といった論文を書くチャンスもあります。ぜひ自分の頭で考える機会を大切にしてください。自分の頭で考えることや文章にまとめることは大変ですが、その経験は必ず大きな財産になっていくと思います。また、大学はたくさんの人が集う場でもあるので、いろんな人と会って、話してみてください。自分の新しい世界を広げる機会にもなると思います。最後に、ぜひいろいろな経験をたくさんしてみてください。楽しいことばかりでなく、悲しいこと、辛いこと、苦しいこと・・いろいろな経験をすることで成長していくと思いますし、周りにいる人の気持ちをイメージし、寄り添うこともできるようになると思います。相手との間に「自分と考えが違うから。自分は経験したことがないから」と壁をつくるのではなく、「こんな気持なのかもしれない」とイメージし、周りにいる人との関係を深めていってください。楽しいことも失敗も全部含めて、大学での時間を楽しんでください!
 

田中さん、ありがとうございました!

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