2019/08/14 福祉心理学科

【研究】平泉拓助教が世界初のeメンタルヘルス・サービスを共同開発

東北福祉大学・平泉拓助教(臨床心理士・公認心理師)は、障害の有無にかかわらず「就労のシーンで使える心理学」として世界初のeメンタルヘルス・サービス『セルフコーチング』を株式会社manaby(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:岡﨑衛)と開発、同社によるサービス提供が8月15日から開始されることになりました。サービスは障がいの有無に関わらず、全国の15か所にあるmanabyの就労移行事業所において、利用登録している18歳以上65歳未満の方がご利用いただけます。

世界初のeメンタルヘルス・サービス『セルフコーチング』について

『セルフコーチング』は、就労シーンで使用可能な心理学のスキルを習得する、世界初のeメンタルヘルス・サービス(※1)です。障がいの有無に関わらず、manaby社の就労移行事業所において利用登録している、18歳以上65歳未満の方がこのサービスを利用できます。日々の気持ちと行動を整理し、人との関わりをより良くすることを目指しています。

※1 eメンタルヘルス・サービスは、情報通信技術を用いた心理支援のサービスの総称です。

「セルフコーチング」の特長

・誰でも心理学の”スキル”を身につけることができる。
独自開発したeラーニングのシステムを利用し、約1か月かけて繰り返し習得。これまで軽視されがちだった心のケアを“スキル”として身につけていきます。

・安心・安全に認知行動療法と解決志向短期療法の”スキル”を学ぶ。
認知行動療法、解決志向短期療法という専門的な心理療法の”スキル”をわかりやすく、安心・安全に働き方をイメージしながら学ぶことができます。

・eメンタルヘルスの包括支援を展開。
eメンタルヘルスという情報通信技術を用いた心理支援が注目を集めています。manaby社では下記のように3つのステップで包括的なサービスを展開しています。
 <第1ステップ>世界初の、心理学の “スキル”をみにつけることができるeラーニングのコンテンツ提供。
 <第2ステップ>心理学の“スキル”を学び続けるスタッフによるサポート提供。
 <第3ステップ>公認心理師による専門的なサポート提供

この度manaby社により開始されるサービス内容は、第2ステップまでとなっています。今後は、利用動向を分析し、公認心理師によるサポートを含む“eメンタルヘルスの包括支援”に取り組んでいきます。

開発背景

【障害者雇用を取り巻く環境/心のケア“スキル”のばらつき】
日本の障害者の雇用施策対象者は約377万人(障害者全体の約39%)であり、このうち精神障害者が最も多く217万人です (2018年度厚生労働省調べ)。雇用障害者数は約53.5万人(2018年版「障害者白書」)に留まっており、雇用施策対象者数に占める障害者の就労率は低いという状況があります。また、就労できたとしても、周囲とのコミュニケーションに苦労し、就労が定着しづらい現実があります。

近年は、就労移行支援(※2)という福祉サービスが推進されており、就労に向けた支援体制が整いつつあります。しかしながら、就労活動では、やりたいことがあるけれど自信がない、失敗してしまうのではないかと不安になるといった「考えや気持ちに関する問題」、言いたいことがあるけれど言いにくい、伝えようとしたけれど伝わらないといった「人との関わりに関する問題」など、障害者に心の問題が生じやすくなります。障害者、事業所のスタッフ、及び一般企業の担当者は、自分で心のケアをする心理学の知識とスキルを学ぶ機会が少なく、また、心のケアについてのスキルにばらつきがあり、一人ひとりの力量に頼って課題の解決が図られている現状があります。

【個々人の課題に合わせた適切な心のケアを実現したい】
manaby社は「一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」というミッションを掲げ、eラーニングでITスキルを習得できる職業訓練、在宅勤務を含む就労活動、及び就労の定着を目指した包括的なサポートを提供しています。⾃社で開発したeラーニングでは、「在宅就労」につながるプログラミングやデザインスキルを「在宅訓練(※3)」で学ぶことができます。またダイアローグ(対話)を重視し、障害者⼀⼈ひとりの能⼒や志向に合わせた「自分らしい働き方」の実現に向けた包括的な支援に取り組んでいます。

そして、現実問題として心のケアに関する課題がある中で、「就労のシーンで使える心理学の知識とスキルが欲しい」という利用者の声をうけて、課題解決のために産学連携でサービス開発に取り組み『セルフコーチング』を開発しました。

※2 就労移行支援とは、障害者総合支援法で定められた就労に関する障害福祉サービスです。就労に向けた職業訓練だけでなく、就労活動から就労後の職場定着まで、障害者を包括的に支援する機関で、全国に3,315事業所あります(国保連データ2018年9月)。
※3 東京都内の事業所では通所でのサービス提供。

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