2021/03/02 福祉心理学科
【お知らせ】『ホロコーストから届く声 非常事態の人のこころ』が出版されました
昨年11月に左右社から出版された『ホロコーストから届く声 非常事態の人のこころ』は、未曽有の事態における人のこころに耳を傾ける試みです。その帯にあるように「コロナにより隔絶された現在」にもつながるものとして注目されています。福祉心理学科・清水めぐみ准教授が著者としてコラムを寄せています。 出版にあたり、清水准教授からコメントをいただきました。
清水准教授からのコメント
ホロコーストは心理学という学問分野にも当然のことながら、大きな影響を与えてきました。なぜ人はあれほどまでに残虐なことができるのか、どうして止められなかったのか、など数々の疑問が噴出し、研究がたくさん行われてきました。私たちは、あのようなことを決してしようとは思わないし、繰り返さないはず、と思っています。しかし、「よかれ」としてなされていたことの成れの果てにホロコーストが起きていたことを考えると、何かを「悪」として特定し、それを退けることなどで事態に対処できるわけではないのでしょう。
当時の人々が知らぬ間に飲み込まれることになった暴力に、現代を生きる私たちも、それがあからさまな形としてではなくとも、自然からの驚異として、それに対応するための不可欠の規制として、見舞われていることに気づきます。ホロコーストは全く過去の話などではなく、現代にも生々しく蠢いていることが実感されます。
本書は、心理臨床家がドイツはベルリン郊外に遺されているザクセンハウゼン強制収容所を訪問することを起点に「人のこころ」が音楽、舞踊、演劇、文学、美術、夢を通じて描き出されます。最後の第7章には、ユング派分析家のギーゲリッヒ氏による「抑圧された忘却」が掲載されており、「忘れずにいること」が問い直されます。禍の下にある今、手に取っていただきたい一冊です。
当時の人々が知らぬ間に飲み込まれることになった暴力に、現代を生きる私たちも、それがあからさまな形としてではなくとも、自然からの驚異として、それに対応するための不可欠の規制として、見舞われていることに気づきます。ホロコーストは全く過去の話などではなく、現代にも生々しく蠢いていることが実感されます。
本書は、心理臨床家がドイツはベルリン郊外に遺されているザクセンハウゼン強制収容所を訪問することを起点に「人のこころ」が音楽、舞踊、演劇、文学、美術、夢を通じて描き出されます。最後の第7章には、ユング派分析家のギーゲリッヒ氏による「抑圧された忘却」が掲載されており、「忘れずにいること」が問い直されます。禍の下にある今、手に取っていただきたい一冊です。
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