調査は、2020年5月20日から6月5日の間に行われ、129名(平均年齢37.59歳, SD=11.67)の女性看護師が分析対象となりました。調査では、Ahorsu et al.(2020)によって開発されたFCV-19Sを用いて、妊娠・不妊治療患者のCOVID-19に対する恐怖心を測定しました。また、COVID-19 に対処するためにどのような行動をとっているか、参加者の人口統計学的特徴(年齢、喫煙者、家族との同居)と危険因子(現在の健康状態、治療中の疾患、就労状況、前月の家族のコミュニケーション、前月の家族の葛藤、最も重要な情報源、お住まいの地域(都道府県)での感染者の有無、感染者の知人の有無に関する質問が本調査に含まれていました。また、買いだめ行動や健康モニタリング(健康管理など)を測定する項目についても調査しました。
まず、高齢者家族との同居が、感染恐怖に正の影響を与えていることが示されました。この点について、看護師が抱えている新型コロナウイルス感染症への感染恐怖は、その看護師が置かれている社会的な立場によって規定される側面があると指摘されていますが(Tercan et al., 2020),我が国においては特に高齢者との同居が重要な要素であることが考察されます。次に、「一週間における夜勤時間」が感染恐怖に正の影響を与えていました。この結果から、感染恐怖が看護師の体力的な消耗と関連する可能性が示唆されました。さらに、規模の大きい病院で働く看護師の感染恐怖が低いことから、感染対策の充実や、職場における感染症への専門的知識の豊富さ、看護師への組織的なサポートが、小規模の病院においては比較的整っていないことが多いため、診療所で働く看護師の恐怖が高いことが推察されます。
Determinants of nurses' fear of infection with COVID-19 in Japan
Authors:Koiwa, K., Wakashima, K., Asai, K., Takagi, G., & Yoshii, H.
日本語タイトル:我が国における看護師の新型コロナウイルス感染症への感染恐怖の規定要因
著者:小岩 広平・若島 孔文・浅井 継悟・高木 源・吉井初美
掲載誌:心理学研究