2025/10/13 教育学科

【教育学科】地域文化の歴史と今を考える:東北古典彫刻修復研究所と山辺町ふるさと資料館「杉下地区と世尊寺」展の見学会を開催しました

1013日(月・祝)、日本美術史の門脇ゼミ、歴史教育の下山ゼミ、学芸員課程の学生たちの総勢20名で、東北古典彫刻修復研究所(山形県上山市)と山辺町ふるさと資料館を訪問しました。現地では専門家の説明を受けながら、文化財保存修復家の仕事や地域文化が直面する課題を取り上げた展覧会を見学しました。

 

【参加者による報告】 

東北古典彫刻修復研究所では、澄んだ空気と木の香りに包まれた作業場で仏像に向き合う修復家の姿が印象的でした。穏やかな語り口で、文化財の背景や修復の意義を丁寧に説明してくださり、仏像への敬意が伝わってきました。登米市の寺院から預かった仏像の断片は、痛ましい姿でありながら、祈りの痕跡を宿しています。それらを「治す」のではなく、どう継承するかが問われていることに気付き、文化財とは単なる美術品ではなく、信仰や記憶と結びついた存在なのだと実感しました。

山辺町ふるさと資料館では特別展「杉下地区と世尊寺~地域が紡いだ祈りの歴史~」が開催されており、商家の蔵を活用した展示室で、かつて世尊寺に伝わった仏像・仏画・歴史資料などを間近に見学しました。現在、こうした地域の文化財は廃寺をきっかけに失われる可能性があるという事実を知り、地域文化のアイデンティティを守るために、教員をめざす自分にできることは何かを考えるきっかけになりました。

小学校教育では文化財をただ「見る」だけでなく、「問いを持つ」ことが大切だと感じます。例えば、仏像の表情を見て「どんな気持ちに見える?」と聞いたり、欠けた部分から「どんな物語があったと思う?」と想像を促したりすることで、児童の思考を広げることができます。美術史を学んだ教育者として、文化財を通じて子どもたちの感性と問いを育む場づくりをめざすことで、地域文化の継承にもかかわっていきたいと思います。
(初等教育専攻2年 S.O.さん)
 

東北古典彫刻修復研究所にて修復家の石井さんから説明を受ける様子
東北古典彫刻修復研究所にて修復家の石井さんから説明を受ける様子
山辺町ふるさと資料館の新目館長より展示の説明を受ける様子
山辺町ふるさと資料館の新目館長より展示の説明を受ける様子

この記事に関するお問い合わせ

教務部教務課
住所:〒981-8522 宮城県仙台市青葉区国見1−8−1
TEL:022-717-3315
FAX:022-301-1280
E-Mail:kyomu@tfu.ac.jp