2019/11/12 教育学科 広報課

【研究】宮城県内高校生と母親の深刻な睡眠不足/水野康准教授 共同研究

ポイント

  • ①高校1・2年生約1300人を対象とした質問紙調査(2011年)、および、②高校1・2年生とその母親計20組を対象とした睡眠の測定(簡易機器による夏と秋の各1週間。2018~2019年)を実施しました。
  • ①では、“授業中の居眠りが週3回以上”と回答した高校生の割合が全体の33%でした。授業中の居眠りが多いグループとして、文化部員、運動部員、2年生、学校から帰宅後に仮眠習慣がある、平日の勉強時間が30分未満、就寝直前の電子機器の使用者などが見出されました。
  • ②では、秋の夜間睡眠中の実際に眠っていた時間が高校生と母親ともに平日では平均6時間を切っており、夏は、親子ともさらに短い傾向にありました。また、秋の高校生のデータから、夕方の仮眠、夜半や早朝に起きて課題を行うなど、極めて不規則な睡眠習慣の例が認められました。
  • ①、②ともに深刻な睡眠不足の状態を示唆しており、これらの成果を紹介し、不十分な睡眠による様々な問題、十分な睡眠をとるためのポイント等についての提案・議論する機会(2019年11月24日10時半~12時)を設けることになりました。高校生、保護者、教育関係者等、幅広い層の参加をお待ちしています。

研究の背景と概要

腕時計型の睡眠評価機器(アクチグラフ)を用いて計測した秋の授業期間中における高校生2名の睡眠実態。上段の例では、就寝時刻にバラつきがあるものの、起床時刻はほぼ一定でほぼ良好な状態、下段は、夜間(24時~6時)に起きて課題等を行っており、睡眠時間帯が極めて不規則な状態にある
腕時計型の睡眠評価機器(アクチグラフ)を用いて計測した秋の授業期間中における高校生2名の睡眠実態。上段の例では、就寝時刻にバラつきがあるものの、起床時刻はほぼ一定でほぼ良好な状態、下段は、夜間(24時~6時)に起きて課題等を行っており、睡眠時間帯が極めて不規則な状態にある
日本人の睡眠時間が世界一、二を争う短さであることはよく知られており、この傾向は中高生でも同様です。また中高生では、学校からの帰宅後の仮眠が睡眠不足をはじめとする様々な不調と関連すること、過剰な部活動も睡眠不足を引き起こす要因として指摘されています。また高校生の母親世代は、年代・性別で分類すると、最も睡眠時間の短い集団であり、その一因が家事や子育てにあることから、子どもと母親の両者の観点から睡眠実態を検討する必要があると思われます。

これまで、中高生全体を網羅した睡眠や日中の眠気に関する全国調査は行われていますが、本質問紙調査(①)では、ほぼ全員の生徒が大学に進学する高校1・2年生(有効回答1314人)に対象を絞り、睡眠不足、授業中の耐え難い眠気(3日/週以上)、授業中の居眠り(3日/週以上)のそれぞれ3つの訴えを睡眠問題とし、これらに関連する属性・生活習慣について検討しました。親子両者から客観データを取得した②については、類似の研究は幼児・小学生児童と保護者の睡眠を検討した質問紙調査のみであり、高校生の親子については今回が初めての試みになります。夏と秋の計2回、各1週間の睡眠測定に加え、睡眠不足の理由など質問紙調査も行いました。

①の結果では、平日の睡眠時間が平均6時間30分であり、睡眠不足、授業中の耐え難い眠気(3日/週以上)、授業中の居眠り(3日/週以上)の訴えは、各64%、55%、33%でした。この中で最も深刻と思われる授業中の居眠りに関連する要因では、リスクを示すオッズ比の最上位は、部活無所属に対して文化部で2.39倍、次いで運動部で2.27倍でした。文化部が運動部と同等以上に居眠りリスクが高い、という結果は不思議ですが、文化部でも吹奏楽や演劇部等では、放課後や土日の活動時間が長く、休みが少ないことが関連しているかもしれません。今後、運動部・文化部とも各課外活動の内容をより詳細に調査して、睡眠実態との関連を調べる必要性があります。また平日の睡眠時間が7時間以上の高校生は授業中の居眠りリスクが低く、十分な睡眠時間を確保することの重要性も確認できました。

②は、限られた人数での測定でしたが、貴重で説得力のある客観データから、高校生と母親の両者とも慢性の睡眠不足状態を示唆する結果が示されました。睡眠不足の理由を問う質問の回答では、母親の最上位は家事(約半数~6割)、次いで高校生への対応(約4割)で、高校生では最上位が宿題(約6割)、次いでスマホまたはゲーム(3~5割)でした。
卒業後の進路を決める土台固めとなる高校1~2年、更年期を迎え、様々な心身の変調とともに短時間睡眠を強いられる母親世代、どちらも睡眠はとても大切です。報告会では、今回の結果を元に作成した高校生および母親を対象としたパンフレットを準備・配布します。

①は文科省の地域イノベーションクラスタープログラム(2010年)、②は東北福祉大学学内公募型研究助成(2017年)の支援を受けて実施しました。

論文及び学会発表

[研究論文名] Napping Behaviors and Extracurricular Club Activities in Japanese High School Students: Associations with Daytime Sleep Problems. (日本の高校生における仮眠習慣と課外活動:これらと日中の睡眠問題(居眠り等)との関連)
[著者]水野康、水野一枝、岩田一樹(東北福祉大学)
[公表雑誌]Clocks & Sleep 2019, 1, 367–384 [公表日]2019年8月9日,doi:10.3390/clockssleep1030030

[研究論文名] 高校生と母親の睡眠の関連: 予備的報告
[著者]水野一枝、水野康(東北福祉大学)、前田亜紀子(群馬大学)
[公表雑誌]東北福祉大学研究紀要 43 (2019): 85-94.[公表日]2019年3月20日

[発表演題名] 高校生と母親の睡眠の関連
[著者]水野一枝、水野康(東北福祉大学)、前田亜紀子(群馬大学)
[学会名]日本睡眠学会[発表日]2019年6月28日

成果報告会の開催について

本件の成果報告会「眠りで伸ばす高校生とお母さんの力」を、11月24日(日)10:30~12:00に、東北福祉大学仙台駅東口キャンパス41教室にて開催します。会場の都合で参加者を最大100名といたしますので、参加を希望される方は、下記、申込フォームにて、氏名および連絡先(電話番号またはe-mailアドレス)を添えて登録をお願いいたします。定員に達しましたら受付を締め切らせていただきますので、その際にはご容赦ください。なお、登録いただいた氏名・連絡先は、今回の目的のためだけの使用とし、本学個人情報取扱規程に従って管理し、報告会終了後に廃棄します。親子、家族での参加も歓迎しています(申込フォームに連名での入力をお願いいたします)。

本件に関する問い合わせ先

東北福祉大学教育学部教育学科 職階:准教授
氏名:水野 康(みずの こう)
TEL:022-728-6014 FAX:022-728-6040
E-mail:mizuno-k@tfu-mail.tfu.ac.jp

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この記事に関するお問い合わせ

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