2020/09/09

合同遠隔授業の試み-多文化共生PROJECT2020-

初等教育専攻 上條晴夫 教授(教師教育、国語教育)

(1)コロナ禍の中の合同遠隔授業

上條ゼミ3年生は多文化共生をテーマに活動しています。例年、夏休みには東京の日本語学校で留学生たちと合同ワークショップ(半日)を実施します。しかし新型コロナウイルスの影響でゼミ生も楽しみにしていた東京でのワークショップが出来ないことになりました。そこで日本語学校の先生と相談してZoomで結んで合同遠隔授業を実施することにしました。

(2)合同遠隔授業を実現する学びのしかけ

上條ゼミはコロナ発生とほぼ同時に遠隔授業のためのZoomを使った対面授業の準備を開始しました。長い春休みを利用し、まずは3年ゼミ生の自主企画によるZoomを使った上條ゼミ合同懇親会(2年生~4年生:合計24名)を企画し、実現させました。

授業が始まると、多文化共生をめぐる複数冊の読書会のほか、アメリカ留学生、イタリア居住者、仙台市外国ルーツの子支援の会代表の方へのZoomによるインタビューなど、合同遠隔授業へ向けた準備を少しずつ整えた上で、コロナ禍の中の挑戦を行いました。

①学習者中心の学びのデザイン
 ・7月16日 多文化共生プロジェクトの提案と関心別グループづくり
 ・7月30日 グループ活動:テーマに基づく学び合い
 ・8月06日 グループ発表(10分)+質疑応答
全3回(途中に連休を挟むので4週間)のZoomを介した活動(2時間)としました。東京の日本語学校には授業概略を提示し、許可をいただきました。過去6年間、交流ワークショップを続けてきたという信頼の積み上げが大きかったかなあと思います。

②放課後活動を促す工夫
各2時間✕全3回の遠隔合同授業以外に放課後活動として関心別グループによるZoomミーティング(40分まで無料です)を実施するよう強く推奨しました。むしろ放課後活動が学習活動のメインになるように全3回の授業をデザインしたといってよいです。

学びのしかけとして、初回にグループづくりを行い、2回目はグループごとのZoomミーティング(40分✕2回)としました。Zoomには、ブレイクアウトセッションという装置があって、教師の管理下でのグループ活動もできましたが、各グループごとにZoomを設定してもらってグループ活動しました。全体ミーティングに戻ってきたときの共有はしましたが、教師によるコントロールを手放し、机間指導は実施しませんでした。

③非同期装置の活用
参加者は上條ゼミが10人、新宿日本語学校が11人でした。新宿日本語学校の学生は日本に再入国できないまま中国・香港・マレーシアなどの自宅からオンラインに入ってくる学生もいました。しかしLINEを全体連絡網として使うことによって回線が切れた場合もバックアップ装置として活用できました。またこの全体LINEを作ることで関心別グループでZoomを設定する際の基盤(グループLINE)を簡単に作ることができました。

(3)合同遠隔授業の成功のポイント

第1回の緊張の出会いから始まり、交流を重ねるごと各グループの凝集性が高まって、最後の関心別グループによる発表&リレー方式による質問では最高潮の盛り上がりを示しました。授業デザインする上の幾つもの気づきがありました。2つだけ書きます。

1つは関心別グループを作ったことの効果の大きさです。この授業では多文化共生という大テーマのもと、各自が関心の持てる「スポーツ」「学校」「食べ物」「コミュニケーション」の4グループに分かれて活動することにしました。この関心別グループを作るのに、オープン・スペース・テクノロジーを使いました。この技法を採用することで学生たちの探究心を燃え続けさせることができました。発表ではその探究心が統合されました。

もう1つはZoomによる合同「遠隔」授業を学生たちが挑戦として楽しんだことです。初対面の2つの学生グループが1つのミッションに向けてチーム力をUPしていきました。社会的な問題のある課題がミッションとして設定されることで初対面同士でも「まとまりやすい=楽しみやすい」状況が作り出せたようです。また最後に発表をするという学習デザインはアウトプットで学ぶことを好む学生のマインドを温めたようです。 

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