2020/09/14

教育コラム:学生の学びを止めることのない後期へ向けて

初等教育専攻 三浦和美 教授(小学校社会科教育)

試行錯誤の前期を乗り越えて

2020年前期に始まったオンライン授業。対面ができない制限のある中でも主体的に学ぼうとする学生たちと少しでも対面授業の良さに近づけようとする教員の工夫によって乗り越えることができたことは本コラムの多くの報告にもある通りです。試行錯誤の連続でしたが、オンライン授業を行うための授業設計、字幕変換ソフトや多様なICT機器の使用等は今後の大学教育における授業改善や学生支援のための効果的な方策になっていくと思います。こうした手ごたえを感じることもたくさんありましたが、一方でうまくできなかったことや指導の不十分さにもどかしい思いをした前期でした。8月から9月にかけては後期授業への検討を行う日々が続きましたが、後期へと向かうための授業改善に着目してまとめてみました。

授業改善の3つの視点

システムに残された前期のデータを読み返してみると改めて慌ただしく準備が進められたことが分かりました。特に、講義全体の内容とそれぞれのコンテンツの整合性が明確ではない部分が見つかったり、シラバスが長文であったりと反省ばかりが浮き彫りになりました。この反省に立って考えた授業改善の視点は、①「改訂版シラバス」の簡素化②ルーブリック評価の可視化③学生の意欲を高める資料作成の3つです。そして、これらが有機的に結びついていくためのカリキュラム・マネジメントが求められます。

(1)「改訂版シラバス」の簡素化

例年、担当している講義のシラバスは6~8ページにわたりました。講義の全てを詰め込んだつもりでも学生には読みづらいシラバスだったのかもしれません。そのため、前期は「改訂版シラバス」を半分の4ページとし、講義冒頭で学生に配信しました。しかし、前期にオンデマンド型授業で実施した「教育相談の理論と方法A」(小学校課程学生155名、幼保コース学生82名の2コマ開講)では教員と直接の関わりが持てなかったため、端的で効果的な編集が必要であったことに気づきました。そこで、後期は、1ページ目に「講義全体」について,2ページ目に「15回分の講義内容」についてと2ページ構成の「改訂版シラバス」にしました。シラバスを簡素化し読みやすく改善することでスムースな講義への導入をめざしたいと思います。

(2)ルーブリック評価の可視化

 各講義でルーブリック評価を実施してきましたが、これまでの対面授業では紙ベースの配布に終始していました。第1回では事前の段階の文言を赤ペンで、第14回では事後の段階の文言を青ペンで囲むことで自己評価の可視化をしていました。また、自己評価の理由を自筆で書くことによって、学びの軌跡を把握する機会となるよう設定してきました。しかし、今回オンライン授業になったことで紙ベースの配布ができなくなり、Edu Track「アンケート機能」で実施することにしました。このことにより学生の事前・事後の変容は一瞬で可視化されました。講義の目標と観点に照らして自己評価していくことで主体的な学びを進めるため、ICT活用による作業の効率化は今後も有効な視点として活用できると思います。

(3)学生の意欲を高める資料作成

後期講義で提示予定の「オンライン授業の受け方」
学生の学習意欲を高めるために、「教育相談の理論と方法」では、①講義冒頭と②講義のまとめの2本を毎回作成しました。この作業を通して、パワーポイント資料の作成が学生の学習意欲の維持・向上に深く関わることにも気づきました。①では前時のリフレクション・新聞から「教育課題」を探る・本日の講義課題提示の3つを提示し、②では講義課題の回答と次回予告の2つを提示することを毎回のルーテインとしました。学生からは「毎回の講義課題が明確で取り組みやすかった」「先生の声で課題を話してくれるので自分1人でも学習を進められた」「新聞記事を紹介してくれることが多かったので、教育現場のことや教育相談のことを深く考える機会になった」などの感想が寄せられました。
また、慌ただしい準備の中で「オンライン授業の受け方」の十分な指導ができなかったため、後期はパワーポイントで詳細な内容を提示することにしました。前期で起こったトラブル等も予防的に提示することで事前に軽減することもできます。自学が中心となるオンライン授業では学生の意欲を高め維持できる資料作成が肝要であるため、後期も引き続き取り組んでいきたいと考えています。

以上のことを踏まえつつ、オンラインでも学生の学びを止めることのなかった前期をさらに後期へとつないでいく日々にしたいと思います。

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