2021/08/17 教育学科

教育コラム:小学校英語教育 自分の気持ちや考えを伝える「替え歌」の活用

初等教育専攻 伊勢恵 准教授(小学校英語科教育)講義科目:英語科概論

2020年度から3・4年生を対象に「外国語活動」、5・6年生を対象に教科としての「外国語科」がスタートした小学校英語教育。これらの授業では、様々な活動を通して英語の語彙や表現に触れ、慣れ親しみながら、考えや気持ちを伝え合う力の土台となる資質・能力を育成します。英語を単に知識として学ぶのではなく、コミュニケーションの場面や目的に応じて、実際に使いながら学びます。もちろん、児童は自分の気持ちや考えを伝えるための英語の語彙や表現を十分に持ち合わせていません。そのため、教師は児童とのやり取りや教材・教具を上手く活用して繰り返しインプットを与え、児童が言葉を声に出したくなるような工夫をする必要があるでしょう。

児童自身のことや気持ちなどを引き出す工夫は様々ありますが、今回は、私が小学校教員だった時に児童と歌った自作の「替え歌」を使った活動を紹介します。まったく馴染みのない新しい歌よりも、既に知っている歌のメロディーにのせて英語表現を口ずさむことは、歌いやすく、覚えやすいという利点があります。また、指導したい語彙や表現を自由に取り入れることができます。ただし、替え歌を作る場合は、英語のリズムや強勢など音声的特徴が崩れないように注意することが必要です。

“London Bridge”のメロディーで “How many 〇〇 do you have?”

『ロンドン橋』として知られている歌です。
A: How many (pencils) do you have? Do you have? Do you have?
How many (pencils) do you have?
B: I have⦅three pencils⦆.
 ( )には数を数える物を入れ、⦅ ⦆には問いに対する答えが入ります。筆箱に入っている文房具等を使うと、児童自身のことを伝える機会になります。
【遊び方】
4人で1グループになり、順番を決め、3人がAパートを、1人がBパートを歌います。これを4回繰り返し、全員がBパートを歌いながら鉛筆の数を紹介します。活動中は歌うだけでなく、それぞれの児童の鉛筆の数を覚えておきます。全員が歌い終わったら、覚えておいた鉛筆の数を足して、グループの鉛筆の数を計算してみましょう。次は、クラスでグループの鉛筆の数を報告し合います。発表グループ以外の児童はAパートを、発表グループは “I” のところを “We”に変えてBパートを歌います。全グループの報告を聞いたら、各グループの鉛筆の数を足して、クラス全体の鉛筆の数を計算してみます。質問するだけでなく、しっかり相手の答えを聞く必要がある点、算数の要素が含まれる点がお勧めです。 

“Are you sleeping?” のメロディーで “What 〇〇 do you like?”

『グー・チョキ・パーで何つくろう』の手遊び歌として馴染みがある曲です。
A: What (color) do you like? What (color) do you like?
B: I like⦅pink⦆. I like⦅pink⦆.
What (shape) do you like? What (shape) do you like?
A: I like⦅stars⦆. I like⦅stars⦆.
(  )にカテゴリーを入れて、児童の好みを尋ねたり答えたりします。
【遊び方】
4人程度で1グループになり、制限時間内(3分程度)にグループで共通点を見つける活動です。まず、クラスで( )に入るカテゴリー(animal, season, fruit, sport等)を考えます。その後、グループに分かれ、クラスで決めたカテゴリーを替え歌の( )に入れ、⦅  ⦆には各児童がそれぞれの好きなものを入れて、全員一斉に歌います。⦅  ⦆の答えが全員一致したら、共通点としてカウントします。制限時間内にカテゴリーを変えて何度も歌いながら、共通点をできるだけ多く見つけます。最後にグループで見つけた共通点をクラスで報告しても良いでしょう。共通点が見つかったカテゴリーを最初に尋ね、発表グループ以外の児童がそのカテゴリーを使ってAパートを歌い、発表グループは“I” のところを “We”に変えてBパートを歌います。

“Mulberry bush”のメロディーで “Where do you want to go?”

マザーグースの一つ『桑の木の周りを回ろう』として親しまれている歌です。
A: Where do you want to go? Where do you want to go?
B: I want to go to ⦅Italy⦆.
A: Me, too! Let’s go. / Have a nice trip.
 児童が「行ってみたい国」を尋ねたり答えたりします。
【遊び方】
同じ国に行きたいクラス・メイトを見つける活動です。クラスを歩き回り、近くにいる児童とペアになってジャンケンをします。勝った方がAパート、負けた方がBパートを歌います。最後のフレーズは、行きたい国が同じだった場合は “Me, too! Let’s go!” 、異なる国だった場合は “Have a nice trip!” と答えます。次に、質問した児童と答えた児童の役割を交代します。その後、ペアを変え、同様に繰り返します。活動後は、同じ国に行きたい児童同士がグループになり、その国に行って何をしてみたいか話し合うのも良いでしょう。

 

“Ten Little Indians”のメロディーで “Where did you go?”

 『10人のインディアンズ』として知られている歌です。同じメロディーで3番まで作成しました。
(1番)
A: Where, where, where did you go? Where, where, where did you go?
B: (Sakura), (Taku), (Mayuko) and I went to⦅France ⦆together.
(2番)
B: We, we, we took a picture. We, we, we took a picture.
We, we, we took a picture in front of (the Eiffel Tower).
(3番)
A: Wow, wow, that’s (nice).
B: Yes. It is very⦅tall⦆.
A: Did you, did you, did you have a good time?
B: Yes, we did. How about you?
【活用法】
グループで旅行に行ったことについて友だちに伝えてみる活動です。1番では「行った国」について尋ねたり答えたりします。( )には一緒に行った友人の名前、⦅ ⦆には行った国の名前が入ります。2番では( )に建物等の名前を入れ、その建物等の前で写真を撮ったことを伝えます。3番では、写真を見ながら感想を伝え合います。( )には写真を見せてもらった児童の感想、⦅  ⦆には旅行した児童の感想を形容詞で表します。児童の実情に合わせ、1番だけで終了しても良いでしょう。私が小学校英語専科教員だった時には、先に紹介したMulberry Bushの替え歌で同じ国に行きたい児童を見つけ、写真を撮りたい名所を話し合い、名所と児童の合成写真を作りました。その合成写真を使いながら、このTen Little Indians の替え歌で活動をした後は、プロジェクターに写真を投影してプレゼンテーションをし、最終的にはBパートの歌詞を書き写して「写真日記」を作成しました。

自分のことや気持ち・考えを伝え合う力の基礎を育成するためには、相手に伝えるという経験を数多くすることが必要です。とは言え、英語力に限界がある児童にとっては容易ではありません。コミュニケーション活動の準備段階として、馴染みのあるメロディーに合わせて自分のことや気持ちを含めて口ずさみ、語彙や表現に何度も触れることができる替え歌は面白い教材の1つです。

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