2017/10/19 保育士・幼稚園課程

2017年10月19日 3年生保育実習指導Ⅱ

2017年10月19日 3年生保育実習指導Ⅱ

本日は3年生保育実習指導で上村先生がしてくださった新指針・要領解説についてです。まとめてみましたので、ぜひぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。

まずは、新指針改定の前提・背景としてのお話を丁寧にしていただきました。みなさん知っていましたか。『日本の子どもの6人に1人は貧困である』ということを。これは、実際には、ほかの世帯と比べたときに余暇時間が少ない、余暇時間をとることが厳しい相対的貧困の子どもの人数なのですが。皆さんどう思いますか。日本って豊かな国だと思っていませんでしたか。実は、日本はこの相対的貧困の数が先進国でも高いと言われているそうですよ。(わたしはかなり驚きました。)「親の貧困は子どもの貧困」などという言葉もありますが、こんな現状があったら、そりゃあ子どもを産みやすい社会・育てやすい社会とはいえないですよね。

日本の社会は今、少子化が進んでいますから、国としては「子どもを産んでほしい」という願いがあります。しかし、今まで十分であったといえる明確な取り組みはなかったように思えます。日本は今、「子どもの貧困」や「少子化」「待機児童」などの
解決せねばならない問題を抱えています。
そこで、国がそれらの問題を踏まえ、すべての子どもに保育を・幼児教育を受けられるように考えられたのが今回の新指針・要領なのです。やはり改定されることにはしっかり意味があったのですね。詳しく、
〇なぜ貧困を変えるために保育・幼児教育なのか。
〇待機児童問題ってなんで新しい指針・要領になると、解決に向かうといえるのか。
など、はてなを感じた方。そのハテナについては、後日記事をアップしようと考えていますのでしばしお待ちください。ですがいつになることやらわかりません。したがって疑問を感じた方は、今一度、上村先生がアップしてくださった資料がユニパに載っていますので、ぜひご参照ください。さらに、下にのせている解説書に、とっても分かりやすく書いていますので、是非お手に取っていただきたいと思います。ぴよねっとの岡田まで来ていただければ、誰でも読めます。

話を戻します。まずは、新指針・要領が改定されたのには、きちんと理由があったと分かっていただけたでしょうか社会の変化とともに、制度も変わっていくものなのですね。では次からは、その内容に入っていきましょう。上村先生が特に深く解説してくださった部分をまとめると、
① 新しい学習指導要領等が目指す姿
② 保育所保育指針、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領という3つの指針・要領の整合化
③ 乳児保育の重要性
④ 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿
⑤ 小学校教育との教育課程の接続
等がありましたね。一つ一つ見ていきましょう。

まず、新しい学習指導要領等が目指す姿とはなにかについてです。まず皆さん、アクティブ・ラーニングって何かを知っていますか。最近よく聞く言葉ですよね。アクティブ・ラーニングは、学校教育において国から進められている授業改善の方法なのです。なぜアクティブ・ラーニングが必要なのか、というと【子供たちに情報化やグローバル化の急激な社会変化の中でも未来の創り手となるために必要な知識や力を確実に備えることのできる学校教育】が重要とされてきているからなのです。また、これこそが、新しい学習指導要領等が目指す姿であると思います。

また、もう一つお聞きします。皆さん、自己肯定感を持っていますか。
自分は人並みの能力があると思っている日本の若者がわずか55.5%なのです。また、自分はダメな人間だと思うことがある日本の若者は72.5%いるという現状があります。なんて切ない現実。さて、皆さんはこの2つの社会の現状についてどう考えますか。

私たちはこれから、変化していく社会を生きていかなくてはなりません。しかし、今現在、すでに日本の若者は、自己肯定感・社会参画において課題を抱えているという実証データがあります。
しかし、厳しい社会を生き抜き自分を形成していくこと、そして、自分の事だけでなく、未来を生きる子どもたちの育成が重要、なのです。保育者を目指す皆さんにおいては、幼児教育や保育を通じて未来の創り手となるために必要な知識や力を子どもたちに伝えていくことが求められています。
 
では、その未来の創り手となるために必要な知識や力とは具体的には一体何かというと、これからの時代に求められるありかたとして、
▽日本や郷土が育んできた伝統や文化に基づく視野を持ち、理想を実現しようとする意欲を持って、主体的に学びに向かい、必要な情報を判断し、自ら知識を深め個性や能力を伸ばし、人生を切り開くことができること。
▽自分の考えを根拠として伝え、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深め、集団の考えを発展させ、他者への思いやりを持って、様々な人との協働を果たせること。
▽変化の激しい社会でも、より良い人生や社会の在り方を考え、試行錯誤しながら問題を発見・解決し、新たな価値を創造し、新たな問題の発見と解決につなげることができること。
というお話が上村先生からありました。保育現場において、子どもたちはどのような場面でそのような経験をしていくのか。とてつもなく深いです。今一度、ひとつひとつ自分でも考えてみましょう。
背景には、【「すべての子ども」に「質の高い幼児教育・保育」を提供する】という考え方があります。その考え方に基づき、保育所も幼稚園も認定こども園も指針・要領の方向性を整合化したのです。つまり、保育所でも幼稚園でも、認定こども園でも、育つ子どもの姿や幼児教育・保育の内容は同様である。いや、同様であるべきだ。と、いうことです。そして、その質の高い幼児教育と保育を全ての子どもに提供することが求められていると考えます。指針・要領改訂(定)により、今、保育者を目指す者の一人として自分たちにできることは何でしょうか。改めて考えさせられました。

また、この整合化により、乳児保育の重要性が見直され、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿、小学校教育との教育課程の接続と、ポイントは続きます。
後半戦はそれらについて書いていこうと思います。

参考文献『さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか』 著:汐見 稔幸  イラスト:おおえだ けいこ

記事担当者:岡田早希