2021/05/13 保育士・幼稚園課程

保育実習指導Ⅱ

5月13日(木)6限の保育実習指導Ⅱでは、「記録の意義と⽅法Ⅰ 記録の実際と実習⽇誌の書き⽅①」と題して、聖和学園短期大学の上村祐樹先生よりご教授いただきました。

今回は、パワーポイントを用いながら説明していただきましたが、話の途中では上村先生からの問いかけが多々あり、学生は自分ならどうするかを考えながら受講していました。

まず始めは、記録の目的についてのお話でした。記録の目的は、文字や音声など何かしらの形でメモを残すことで、自分や他の人に伝えることです。書く際には読み手を意識して、「読みやすさ、わかりやすさ、伝わりやすさ、理解しやすさ」の4点を心掛けて記録を取ることが重要です。書き手の意図がより伝わりやすくするために、改行や言葉遣い、場合によっては図表を用いるなどしながら、5W1Hを意識して記録します。
※5W1H…「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」

次に、実習日誌の書き方についてです。実習日誌の読み手は、主に保育施設の職員の方です。職員の方には「実際に指導してくれる人」と「施設長など実習を管理する人」がいます。実習日誌を書く場合は、後者の実習場面を見ていない人にも向けて、状況が理解できるように書きます。大雑把ではなく、誰が見ても分かるように書くことが何より重要です。
そのために、以下の2点を心掛けましょう。

➀説明的な記述での記載をすること
 実際に現場を見ていない人は、状況や背景を示すものがないと理解できません。主語が子どもなのか、実習生なのかでも全く状況が異なります。そのために、主語と述語の関係を明確にします。また、その説明を補うためにいつ、どこで、なにを、どのようになど端的に述べ、他にも状況や子どもの様子が伝わるように必要な解説と説明を加えます。
②客観的な視点での記載をすること
 記録は書き手の印象や感想を述べるものではなく、読み手が事実を理解できるようにするものです。そのために明快な事実と状況および対象の内面の状況観察としての事実を示します。例えば、「涙を流していて悲しそうだった」は、涙を流しているという事実が悲しいという感情を伝えています。記録の際には、様子や姿、状態などを根拠に内面の状況を書くことが大切です。

実習生は、保育という仕事を学ぶために実習に来ているのであるため、このような記録をする責任があることを自覚して臨みましょう。

次に、記録の意義についてです。保育はチームで行う仕事であるため、情報共有することがとても重要です。自分だけができていれば良いという考えでは、子どもに不利益をあたえることになります。協働して全員で良い形にしていかなければなりません。そのために重要なことは、口頭で伝えるのではなくメモを残し、自分の目で見て確認できるようにすることです。

最後に、保育の記録の意義についてです。意義は以下に示した通りです。

・幼児の⾏動を記録するもの
・活動のねらいと内容を⽰すもの
・活動を想定するもの
・保育を同僚と共有するための指標
・活動を振り返り、その内容を分析するもの

人はイベントなど大きなことは覚えていますが、日常生活の些細なことは忘れてしまいます。しかし、保育は日常の穏やかな生活の連続的な出来事も大切です。記録は、協働で行う保育を共有するためのものであり、⾃⾝の行った保育を振り返り、記憶にとどめる方法でもあります。
記録をする際には、保育を見よう、聞こうとする意識が大切です。実習生は子ども一人と関わると、周りの子どもが見えなくなりやすいため、子どもの動線や位置を見て、見る方向や座る位置などを意識してみましょう。

また、記録を書くのが大変だと思いながら書くとネガティブな気持ちで書くため、それが文に表れてしまいます。上手い文章である必要はないため、自分が知りたい、興味を持った、面白そうと思ったことなど些細なことから記録を書き始めることが重要です。実習生は学びたい、知りたい、やってみたいをスタートにして書くと苦痛ではなくなるかもしれません。
また、知りたい、学びたいと思うことを捉えられると、今までは気付かなかった部分が見えて意味づけが出来るようになります。例えば、子どもから何気なく聞かれたことを保育者に質問することで子どもの新たな気付きに繋がることになりますので、記録を補うには、子どもの情報を持っている保育者へ質問することも大切です。

実習期間は短いですが、今後の生活に繋がり、人生に生きていく経験が出来ます。実習だからこそできる学びや情報があるため、そこで培ったことは必ず強みになります。実習日誌は、最も重要な学びや経験を記録するもので、実習での学びの最大の成果物だと言えます。また、実習日誌を書いた後にもう一度振り返ることで違う観点が出てくることもあります。記録は学習の素材として生きるため、何度も振り返るなど自分の取り組みによって学習の成果が変わっていきます。

最後に、上村先生から「実習という同じ条件で成果を高いものにするかは、自分次第です」というお話をいただいて、本日の実習指導は終了いたしました。
実習を控えている学生の多くは、今回の講義で多くの学びがあったのではないでしょうか。実習では、まずは保育を見よう、聞こうとする姿勢が大切であると学びました。実習が深い学びとなるためにも、実習前から自分が何を学びたいのか、知りたいのか言語化出来るようにしていきましょう!

記事担当:大槻優希子、森麻尋、島貫莉花子