2021/07/01 保育士・幼稚園課程
保育実習指導Ⅰ
7月1日(木)5限に行われた保育実習指導Ⅰは、「保育現場の理解—子どもの人権と権利擁護について—」と題しまして、君島昌志先生より講義をしていただきました。
今回の講義の内容は以下の通りになっています。
1.個人情報の保護
2.子どもの人権、権利擁護
3.実習におけるトラブルから人権、権利、配慮について考える
1.個人情報の保護
まず、実習においては、学生が署名する「誓約書」をもって実習における学生の責任の所在が明らかになります。そのため当然ながら、実習先の知り得た個人情報は慎重に扱うこととされています。また、実習生はガイドラインでは“従業者”に含まれるため、職員と同等の立場となります。
〇実習期間中に起こりうる問題事案(実際に過去にあった事例から)
事例1:買い物中に自転車のかごに入れていたバック(実習日誌やメモが入っている)が盗まれる。警察に届けたものの見つからない。
事例2:バス内で実習生同士が実習中の話題(固有名詞を含む)を共有する。その時に同じバス内に園の関係者が乗り合わせており、後日大学に抗議に来た。
事例3:コンビニでコピーした実習日誌などの原本をコピー機に置き忘れる。
2.子どもの人権、権利擁護
①2016年の「児童福祉法」の改正
第1条
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神(※)にのっとり、適切に養育されること、その生活が保障されること・・・・・
(※)この精神が児童福祉に取り込むことが明文化される。
②児童の権利
「児童の権利に関する条約」第3条では「児童の最善の利益」を規定しているが、なかでも第1項においては「児童に関するすべての措置をとるにあたっては、公的もしくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局または立法機関のいずれかによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるもの」とする。
③権利擁護の取り組み
(1)意見の尊重
「児童の権利に関する条約」第12条の「意見表明権」の中の第1項では「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響力を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する」権利を確保することを規定している。こうした主体的に行動する権利があることを能動的権利という。
(2)権利擁護のルール
2000年の社会福祉法では、情報の提供や苦情の解決など利用者の権利擁護の仕組みをつくる義務が課せられるようになった。・・・
苦情の受付・解決のシステムは施設によってさまざまであるが、施設経営にかかわる立場にある施設長や理事長を「苦情解決責任者」と定め、職員の中から「苦情受付担当者」を選出し、受け付けた苦情はすべて苦情解決責任者へ。必要に応じて第三者の立ち合いもあるが、それでも解決が困難な状況になってしまった場合は、「運営適正委員会」に苦情の申し立てを行うことができる。
3.実習におけるトラブルから人権、権利、配慮について考える
〇児童養護施設
・・・実習生の部屋に児童を入れないという約束を破ってしまう。しまいには、「入れていない」と虚偽の報告をする。
・・・職員から実習生の持ち物はロッカーに入れておくようにと指示されており、ただ施錠まではせずに持ち物を入れておいたところ紙幣が盗まれていた。結局誰が盗んだのかは分からなかった。
・・・児童から言葉の暴力と受け止められる暴言を受けた。実習生は精神的ショックから声が出なくなり、一時的に右腕を麻痺してしまった。
〇児童自立支援施設
・・・丸刈りの子どもに対して「一休さんみたい」と言うと、その幼児が怒ってしまい、その後の関わり方が分からなくなってしまった。
〇その他
・実習終了日に、「また来てね」と入所している幼児からいわれ、来る予定もないのに「また来るからね」と深く考えもせずに答えてしまった。
最後に、君島先生より「権利の意識は人権への“感覚”です。実習までに皆さんにはこの“感覚”を研ぎ澄ませておいてほしいと思います」というお話がありました。特に実習後は友達と実習の共有をする機会が多いと思います。共有する場所や声の大きさなどには十分に配慮し、ぜひ多くの友達と情報を共有するようにしましょうね!
今回の講義の内容は以下の通りになっています。
1.個人情報の保護
2.子どもの人権、権利擁護
3.実習におけるトラブルから人権、権利、配慮について考える
1.個人情報の保護
まず、実習においては、学生が署名する「誓約書」をもって実習における学生の責任の所在が明らかになります。そのため当然ながら、実習先の知り得た個人情報は慎重に扱うこととされています。また、実習生はガイドラインでは“従業者”に含まれるため、職員と同等の立場となります。
〇実習期間中に起こりうる問題事案(実際に過去にあった事例から)
事例1:買い物中に自転車のかごに入れていたバック(実習日誌やメモが入っている)が盗まれる。警察に届けたものの見つからない。
事例2:バス内で実習生同士が実習中の話題(固有名詞を含む)を共有する。その時に同じバス内に園の関係者が乗り合わせており、後日大学に抗議に来た。
事例3:コンビニでコピーした実習日誌などの原本をコピー機に置き忘れる。
2.子どもの人権、権利擁護
①2016年の「児童福祉法」の改正
第1条
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神(※)にのっとり、適切に養育されること、その生活が保障されること・・・・・
(※)この精神が児童福祉に取り込むことが明文化される。
②児童の権利
「児童の権利に関する条約」第3条では「児童の最善の利益」を規定しているが、なかでも第1項においては「児童に関するすべての措置をとるにあたっては、公的もしくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局または立法機関のいずれかによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるもの」とする。
③権利擁護の取り組み
(1)意見の尊重
「児童の権利に関する条約」第12条の「意見表明権」の中の第1項では「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響力を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する」権利を確保することを規定している。こうした主体的に行動する権利があることを能動的権利という。
(2)権利擁護のルール
2000年の社会福祉法では、情報の提供や苦情の解決など利用者の権利擁護の仕組みをつくる義務が課せられるようになった。・・・
苦情の受付・解決のシステムは施設によってさまざまであるが、施設経営にかかわる立場にある施設長や理事長を「苦情解決責任者」と定め、職員の中から「苦情受付担当者」を選出し、受け付けた苦情はすべて苦情解決責任者へ。必要に応じて第三者の立ち合いもあるが、それでも解決が困難な状況になってしまった場合は、「運営適正委員会」に苦情の申し立てを行うことができる。
3.実習におけるトラブルから人権、権利、配慮について考える
〇児童養護施設
・・・実習生の部屋に児童を入れないという約束を破ってしまう。しまいには、「入れていない」と虚偽の報告をする。
・・・職員から実習生の持ち物はロッカーに入れておくようにと指示されており、ただ施錠まではせずに持ち物を入れておいたところ紙幣が盗まれていた。結局誰が盗んだのかは分からなかった。
・・・児童から言葉の暴力と受け止められる暴言を受けた。実習生は精神的ショックから声が出なくなり、一時的に右腕を麻痺してしまった。
〇児童自立支援施設
・・・丸刈りの子どもに対して「一休さんみたい」と言うと、その幼児が怒ってしまい、その後の関わり方が分からなくなってしまった。
〇その他
・実習終了日に、「また来てね」と入所している幼児からいわれ、来る予定もないのに「また来るからね」と深く考えもせずに答えてしまった。
最後に、君島先生より「権利の意識は人権への“感覚”です。実習までに皆さんにはこの“感覚”を研ぎ澄ませておいてほしいと思います」というお話がありました。特に実習後は友達と実習の共有をする機会が多いと思います。共有する場所や声の大きさなどには十分に配慮し、ぜひ多くの友達と情報を共有するようにしましょうね!
記事担当:森麻尋