2021/07/29 保育士・幼稚園課程
保育実習指導Ⅱ
7月29日(木)の保育所実習指導Ⅱでは、「子どもの理解と評価」と題して、対面形式の講義が行われました。
今回は本学の保育士課程4年生の櫻井陽菜さんにご登壇いただきました。保育所実習に向けた子どもの理解と評価の捉え方や、実習中の課題について説明していただきました。
今回は本学の保育士課程4年生の櫻井陽菜さんにご登壇いただきました。保育所実習に向けた子どもの理解と評価の捉え方や、実習中の課題について説明していただきました。
始めに、子どもの理解についてのお話です。
子ども期にふさわしい教育や保育者としての適切なかかわり、環境構成などで共通して必要なことは、一人一人の子どもを理解することです。すなわち、子どもを理解することは、保育を理解する出発点であると言えます。
子ども期は、周囲の大人に支えられ認められながら自分の世界を広げ、環境と関わる中で生活に必要な能力を獲得していきます。発達には能動性がとても大切です。子どもの理解には、活発的な活動だけではなく、相手の話に聞き入る姿なども能動的な姿として捉え、受け止めていく姿勢が大切です。
・そもそも子どもの理解とは?
子ども一人ひとりの言動や表情などから、思いや考えを理解し受け止め、子どもの良さや可能性を理解することです。子どもは全身で思いを表現するため、保育者は子どもの表面の行動から内面を推し量り、寄り添うことが大切です。子どもを型にはめて考えたり、子ども同士を比較したりするなど、平均像との比較に基づいた評価観にならないよう留意します。
・子ども理解の段階
子どもの様々な環境へのかかわりや興味関心など、多面的な子ども理解の視点を持ちながら、以下に示す段階を循環的に繰り返すことで子どもの行動の意味が見えてくるようになります。
➀子どもの生活する姿から、子どもの心の世界を推測してみる
②推測したことを基に、かかわってみる
③かかわりを通して子どもの反応から新しいことが推測される
・子どもの発達の理解を深めるには?
①園生活の全体を通して子どもの発達の実情を的確に把握する
②一人ひとりの子どもの個性や発達課題を捉える
③保育者のかかわりに目を向ける
子どもの興味関心の持ち方は保育者のかかわり方に方向づけられます。また、何気なく行っている言動がそのまま子どもの中に取り込まれていくため、保育者のかかわりに目を向けることは、子どもの行動や内面を理解する視点となります。例えば、遊びに集中できない子や気持ちが不安的になる子は、保育者のかかわり方の結果であることもあります。子どもの理解をすることは、保育を見直し、改善を図るためにも大切です。
④発達する姿を捉える
子どもの言動などを見てマイナスに評価するのか、プラスに評価するのかで視点が大きく異なります。例えばようやく自己発揮出来るようになって、友達とトラブルが増えてきた子どもに対して協調性がないと捉えるか、自分が出せるようになったと捉えるかで異なります。
これまでのまとめとして、真の子ども理解のために必要なことは?
①子どもの内面(心の動きや育ち)理解に迫る視点を持つこと
②内面理解の視点は、実際の子どもとのかかわりのなかで見いだすこと
③保育実践の中で子どもの発達を捉えること
続いて、保育における評価について説明していただきました。
・保育における評価とは?
子どもの発達する姿を捉えることと、それに照らして保育者の指導が適切であったかの両面の評価を行うことです。子どもの理解でもお話した通り、子どもの姿を肯定的に見ることで、良さや可能性を日々の保育のてがかりにしていくことが大切です。肯定的に見ることで、子どもが保育者に温かいまなざしで見守られている安心感を得て、子どもらしい動きを引き出し、何かやろうとする意欲や活力につながります。
・受け止め方の違い
子どもの言動を肯定的に捉えるか、否定的に捉えるかで子どもの姿が変わります。例えば、廊下を走る子にダメだと𠮟りつけるのか、気持ちを受け止めつつ危ないことを丁寧に説明するのかでは、後者の方が子どもの姿は肯定的なものとなります。評価によって子どもの価値観や行動が方向づけられるため、評価が人をつくるといっても過言ではありません。保育者は発達しつつあるものとして子どもの姿を受け止め、温かいかかわりをすることが大切です。
このような捉え方は記録に書くという作業の中で徐々に明確化していきます。一見マイナスに見える言動もプラスの評価でみると、新たな子どもの成長や思いに気付くことが出来ます。
・記録の蓄積の大切さ
①子どもを見る目が広がり、適切な記録のとり方が出来るようになる
②記録の蓄積によって、子どもの発達する姿を捉える眼が培われていく
③保育者の専門性を向上させるために自分で行うトレーニングになる
記録を通して、自分の保育を思い返し、詳細に反省(子どもの理解と評価をしていくこと)していくことで保育者は成長していきます。
話の最後に櫻井さんより、実習中の子どもの姿を見て、プラスの評価を行ってみようという課題を説明していただきました。今回の話を元に、子どもの良さを捉えるポジティブ視点を意識して記録してみるように、とのお話がありました。
最後に、青木一則先生から「プラスの評価を意識し、まずはその姿勢からは入るだけでも、ただの現象を異なった視点で見ることができて新たな気付きがあるかもしれない。保育者の方の捉え方を学ぶことも大切であるが、自分と保育者の価値観が異なると疑問に感じて考えてみる批判的思考も大切である。先生方の話を鵜呑みにせず、自分なりの視点で見られるようにするためにも、プラスの評価を意識することは大切である。」とお話いただきました。今回教えていただいたことを実習前や実習中に改めて振り返って確認し、よりよい保育所実習にしていきましょう!
子ども期にふさわしい教育や保育者としての適切なかかわり、環境構成などで共通して必要なことは、一人一人の子どもを理解することです。すなわち、子どもを理解することは、保育を理解する出発点であると言えます。
子ども期は、周囲の大人に支えられ認められながら自分の世界を広げ、環境と関わる中で生活に必要な能力を獲得していきます。発達には能動性がとても大切です。子どもの理解には、活発的な活動だけではなく、相手の話に聞き入る姿なども能動的な姿として捉え、受け止めていく姿勢が大切です。
・そもそも子どもの理解とは?
子ども一人ひとりの言動や表情などから、思いや考えを理解し受け止め、子どもの良さや可能性を理解することです。子どもは全身で思いを表現するため、保育者は子どもの表面の行動から内面を推し量り、寄り添うことが大切です。子どもを型にはめて考えたり、子ども同士を比較したりするなど、平均像との比較に基づいた評価観にならないよう留意します。
・子ども理解の段階
子どもの様々な環境へのかかわりや興味関心など、多面的な子ども理解の視点を持ちながら、以下に示す段階を循環的に繰り返すことで子どもの行動の意味が見えてくるようになります。
➀子どもの生活する姿から、子どもの心の世界を推測してみる
②推測したことを基に、かかわってみる
③かかわりを通して子どもの反応から新しいことが推測される
・子どもの発達の理解を深めるには?
①園生活の全体を通して子どもの発達の実情を的確に把握する
②一人ひとりの子どもの個性や発達課題を捉える
③保育者のかかわりに目を向ける
子どもの興味関心の持ち方は保育者のかかわり方に方向づけられます。また、何気なく行っている言動がそのまま子どもの中に取り込まれていくため、保育者のかかわりに目を向けることは、子どもの行動や内面を理解する視点となります。例えば、遊びに集中できない子や気持ちが不安的になる子は、保育者のかかわり方の結果であることもあります。子どもの理解をすることは、保育を見直し、改善を図るためにも大切です。
④発達する姿を捉える
子どもの言動などを見てマイナスに評価するのか、プラスに評価するのかで視点が大きく異なります。例えばようやく自己発揮出来るようになって、友達とトラブルが増えてきた子どもに対して協調性がないと捉えるか、自分が出せるようになったと捉えるかで異なります。
これまでのまとめとして、真の子ども理解のために必要なことは?
①子どもの内面(心の動きや育ち)理解に迫る視点を持つこと
②内面理解の視点は、実際の子どもとのかかわりのなかで見いだすこと
③保育実践の中で子どもの発達を捉えること
続いて、保育における評価について説明していただきました。
・保育における評価とは?
子どもの発達する姿を捉えることと、それに照らして保育者の指導が適切であったかの両面の評価を行うことです。子どもの理解でもお話した通り、子どもの姿を肯定的に見ることで、良さや可能性を日々の保育のてがかりにしていくことが大切です。肯定的に見ることで、子どもが保育者に温かいまなざしで見守られている安心感を得て、子どもらしい動きを引き出し、何かやろうとする意欲や活力につながります。
・受け止め方の違い
子どもの言動を肯定的に捉えるか、否定的に捉えるかで子どもの姿が変わります。例えば、廊下を走る子にダメだと𠮟りつけるのか、気持ちを受け止めつつ危ないことを丁寧に説明するのかでは、後者の方が子どもの姿は肯定的なものとなります。評価によって子どもの価値観や行動が方向づけられるため、評価が人をつくるといっても過言ではありません。保育者は発達しつつあるものとして子どもの姿を受け止め、温かいかかわりをすることが大切です。
このような捉え方は記録に書くという作業の中で徐々に明確化していきます。一見マイナスに見える言動もプラスの評価でみると、新たな子どもの成長や思いに気付くことが出来ます。
・記録の蓄積の大切さ
①子どもを見る目が広がり、適切な記録のとり方が出来るようになる
②記録の蓄積によって、子どもの発達する姿を捉える眼が培われていく
③保育者の専門性を向上させるために自分で行うトレーニングになる
記録を通して、自分の保育を思い返し、詳細に反省(子どもの理解と評価をしていくこと)していくことで保育者は成長していきます。
話の最後に櫻井さんより、実習中の子どもの姿を見て、プラスの評価を行ってみようという課題を説明していただきました。今回の話を元に、子どもの良さを捉えるポジティブ視点を意識して記録してみるように、とのお話がありました。
最後に、青木一則先生から「プラスの評価を意識し、まずはその姿勢からは入るだけでも、ただの現象を異なった視点で見ることができて新たな気付きがあるかもしれない。保育者の方の捉え方を学ぶことも大切であるが、自分と保育者の価値観が異なると疑問に感じて考えてみる批判的思考も大切である。先生方の話を鵜呑みにせず、自分なりの視点で見られるようにするためにも、プラスの評価を意識することは大切である。」とお話いただきました。今回教えていただいたことを実習前や実習中に改めて振り返って確認し、よりよい保育所実習にしていきましょう!
記事担当:大槻優希子、森麻尋、島貫莉花子