2021/09/24 医療経営管理学科
【コラム】元救急隊員の独り言(1) ~「救急救命士」の魅力~福田理絵
街の中を走る救急車に乗っている救急隊員って、みなさんはどんな人たちかご存じでしょうか。救急隊員は消防署で働く消防士で、必ず救急救命士であるわけではありません。救急隊員の中には国家資格を持つ救急救命士もいれば、消防学校で救急の教育を受けた救急隊員もいますが、どちらも同じ消防士です。全員が救急救命士ではありませんが、中には救急救命士以上の知識や経験を持った救急隊員もおり、プロの救急隊員と言えるでしょう。
一方で東北福祉大学では「チーム医療」と言う言葉をよく目にしますが、救急救命士も地域医療の一部を担う医療従事者です。ただ医療従事者とは言うものの、その存在は医療機関内ではなく「消防」という別の組織に属しながら、医療機関と傷病者との間をつなぐ大切な役割を担っています。実は様々な医療機関と救急搬送という形で関り、多くの情報を持ち合わせている「救急の情報屋」でもあります。私自身も何度も転送先を探す非常勤医師に、「どこの医療機関が診られる(専門)なのか」と尋ねられたりしました※。
※例えば救急搬送後に脳出血が見つかったため脳外科専門病院に転送したいなど、転送は、救急では高確率であります。搬送先医療機関の当直の医師が、他県からきている非常勤医師の場合に、地域の医療体制を把握しているとは限りませんので、実情をよく把握している救急隊員に転送先について情報を尋ねることがあります。
救急救命士と他の医療従事者との大きな違いは、現場に「医師」がいないということです。救急現場では医師に代わって観察し、どんな状態で原因は何が疑われるのかを自分で導き出さなければならず、同時に判断力や決断力、説得力も必要です。本当にやってみると大変な仕事だとは思いますが、それこそが「救急救命士」であり「救急隊員」の最大の魅力で誇りでもあるのではないかな、と感じています。今は現場を離れてしまいましたが、時々現場が恋しくなるのは「救急救命士」にしかない魅力を味わってしまったからなのでしょうね。
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