2022/01/06 医療経営管理学科

【コラム】オミクロン株感染拡大による第6波の備え-基本的感染対策を続けよう

医療経営管理学科 学科長 舩渡忠男 教授(医師)

新型コロナウイルスワクチンの東北福祉大学大学拠点接種で、問診をする舩渡教授
新型コロナウイルスワクチンの東北福祉大学大学拠点接種で、問診をする舩渡教授
新型コロナウイルス感染症は、急激に収束したが、このまま感染対策を続けるのか、だんだん緩和していくのか、判断が難しい。第5波が収まったのは、変異していったウイルスが感染力をなくしたとする説があります。ここにきて、新たな変異株「オミクロン株」による感染者の微増です。これを契機に新年になり感染拡大し、第6波となることが懸念されます。感染対策は、一度緩めてしまうとなかなか元に戻すのが大変です。引き続き公共の場でマスク着用の徹底が大事です。鼻を出した着用や、あごマスクは効果がありません。基本的な感染対策として、こまめな体温測定、手指の手洗い、アルコール消毒の励行が季節柄インフルエンザと重なるため、継続が大切です。寒い時期は、室内のドアや窓を絞めがちです。大事なのは、このウイルスが主にエアロゾルによって空気感染することです。したがって、常時外との空気還流を心がけたい。もちろん風邪をひかないよう、十分な暖房による暖気と合わせて、常に換気を意識した感染対策に努めてもらいたい。

第6波を抑え込む決め手は、ワクチンによる免疫獲得と経口薬の予防投与にあります。しかし、経口薬の適応は期待されるが、その効果はまだ不明です。これまで国内での市中感染拡大の波を抑えることが出来なかったのは、初期対応の遅れにありました。感染拡大を阻止するには、早期検査、早期発見、早期入院の三本柱が重要です。風邪様症状のような軽症でもPCR検査を医療機関で積極的に行う。濃厚接触者の保健所における行政検査は併行して実施し、感染者かどうか把握する。

国内では新型コロナウイルスに173万人(2021年12月29日現在)が罹患しました。死者数が18,383人も決して少ないという数字ではありません。他国と比較して死亡数が少ないことで満足してはならない。重症化を防ぎ、命を守ることが最優先課題です。新規感染者が減った今こそ、やるべきことは基本的な感染対策の継続です。学校を休校にするような事態は避けたいものです。来年度も対面講義中心を継続させることが大事です。

感染対策に奇策はありません。新型コロナウイルスと1年半以上にわたり闘ってきたわれわれにとって、万全の体制で第6波到来に臨んで行くことを改めて意識しましょう。

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