2020/12/09 情報福祉マネジメント学科

コラム「教員の声」:「カタカナ語」考 生田目学文教授(上)

教員の声<不定期更新>
学科の教育や活動について学科教員の視点でまとめて報告します。第8回目は、生田目学文教授による「カタカナ語」に関する報告の前半です。

■新型コロナウイルスとカタカナ語

オーストラリア英語? Australian English?
https://ameblo.jp/nori20110817/entry-10999080782.html

和製英語 Japanese English; Japlish or Janglish?
https://ameblo.jp/nori20110817/entry-11000373502.html

ブログ(blog)で上の2つのコラム(column)を書いたのは、オーストラリア国立大学(Australian National University; ANU)に客員研究員として赴任していた2011年のことでした。

英語を変形させたり複合させたりしてできる「フロントガラス」(windshield)などの「和製英語」はいわゆる「カタカナ語」の1つに分類されます。他には、ポルトガル語の「カステラ」(castella)など外国から日本に入ってきた後そのまま日本語として定着した「外来語」や、もとの単語が長いために短く省略した「リモコン」(remote control)などの「略語」、外国語を訳さずにそのままカタカナ表記したフランス語の「コンシェルジュ」(concierge)などの「外国語」などがあります。

あれからおよそ10年、今年の新型コロナウイルス感染拡大に関連して、巷では新しい「カタカナ語」があふれています。

ウイルスそのものもそうですが、ソーシャルディスタンスをはじめ数え切れないほどです。3月に当時の河野防衛大臣がTwitterで「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」について「どうして『集団感染』『感染爆発』『都市封鎖』ではダメなのか」とつぶやいて話題になりました。

世界保健機関(World Health Organization; WHO)は2月11日、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表し、現在国際的にこの呼称が使われています。コロナウイルス感染症と感染者が報告された2019年を組み合わせたもので、COVID-19の「CO」は「corona」、「VI」は「virus」、「D」は「disease」の意味です。一般的にはcoronavirus とも言います。


■カタカナ語は便利だが…

カタカナ語は、翻訳する手間がなく便利ですし、ちょっとカッコ良い感じがするので流行語になりやすい「クール」(cool)な表現ですね。

「コンピュータ」や「アプリ」などのIT用語に代表されるように、日本語への翻訳が難しく、一方で翻訳する手間を省くことができるカタカナ語はとても便利です。
computerを訳すと「電子計算機」ですが、すでに定着した「外来語」なので、無理に訳すとだいぶ印象が変わってしまいます。アプリに至ってはアプリケーションという「外国語」をさらに省略した「略語」で、英語として存在しません。

日本を代表する国語辞典『広辞苑』によると、「適用・応用」という意味のapplicationは「アプリケーション・プログラムの略。コンピューターで、使用者の業務に応じて作成されたプログラム」です。結局カタカナ語を使ってしまっていますが、ちなみに「プログラム」(program)は「①番組。予定。計画。②目録。計画表。また、演劇・音楽会などの内容を解説した小冊子。③コンピューターに対して、どのような手順で仕事をすべきかを、機械が解読できるような特別の言語などで指示するもの。」とあります。③の意味から無理に訳すと「処理命令手順書」となるでしょうか。

深掘りすると切りがありませんので、そのまま便利に使った方がいいのでしょう。

しかし、「クラスター」などの馴染みのないカタカナ語は、年配の方々にはわかりにくく、そのままの発音では外国人にも英語として通じません。

さらに「クラスター」のもとの英語であるclusterそのものに現在私たちが使っている「感染者集団」の意味はなく、ブドウなどの「房」、そこから派生して同種類のものの「群れ」、そして人の「集団」を表すに過ぎません。「オーバーシュート」も同様です。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.三和護「病名はCOVID-19、ウイルス名はSARS-CoV-2」『日経メディカル』2020年2月13日,https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202002/564301.html,2020年11月22日参照
2.岩波書店『広辞苑』(第6版)
3.研究社『新英和辞典』(第7版)

関連ページ

この記事に関するお問い合わせ

教務部教務課
住所:〒981-8522 宮城県仙台市青葉区国見1−8−1
TEL:022-717-3315
FAX:022-301-1280
E-Mail:kyomu@tfu-mail.tfu.ac.jp