2022/09/01 情報福祉マネジメント学科

教員の声:CGの動きはどうやって付けているのか?

教員の声
学科の教育や活動について学科教員の視点でまとめて報告します。第20回目となる今回は大内先生によるCGのアニメーションに関する話です。

1.スケルタル・アニメーション

図1.直方体と3つのボーン 図2.赤いボーンを右に回転する
図1.直方体と3つのボーン(左側) 図2.赤いボーンを右に回転する(右側)
みなさんは、CG(Computer Graphics)のアニメは好きですか?CGのアニメと言われてもピンとこないかもしれませんが、米ピクサー社(正式名称はピクサー・アニメーション・スタジオ)の一連の作品がそれに該当します。有名なところでは、「トイストーリー」「モンスターズインク」「ファインディング・ニモ」「ミスター・インクレディブル」「ウォーリー」「バズ・ライトイヤー」などがあります。みなさんも上記の内ひとつくらいは観たことがあることでしょう。ちなみに、日本でも大ヒットした「アナと雪の女王」や「ベイマックス」は、ピクサー社の作品ではなくウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが制作したそうです。もっとも、ピクサー社は現在、ディズニーの傘下にありますので、上記のすべてのアニメはディズニーの作品ということもできます。

ところで、CGによる映像はどのようにして動かしているか分かりますか。

CGはピクセルと呼ばれるいくつもの点で構成されます。その内の3つの点を結ぶと三角形になり、4つの点を結ぶと四角形になります。このようにして作られた三角形や四角形を「ポリゴン」といいます。CGによるアニメーションは、いくつものポリゴンを動かすことによって表現されるわけです。
図3.緑のボーンを右に回転する
図3.緑のボーンを右に回転する
ポリゴンを動かす方法は、いくつかありますが、ここでは「ボーン」による「スケルタル・アニメーション」について簡単に解説します。

図1は、Blender財団が無料で公開しているCG制作ソフトBlenderを用いて直方体を1個作り、その中に3つのボーン(骨:スケルトンともいう)を入れ込んだものです。

ここで、赤いボーンを右側に回転させてみましょう。このようにボーンを回転させると、そのボーンの周囲にあるポリゴンもいっしょに回転します(図2)。

さらに、今度は緑のボーンを右に回転させてみましょう(図3)。もうお分かりだと思いますが、これを応用すると、「指」や「腕」を動かすCGを作ることができるわけです。

以上のようにスケルタル・アニメーションは、ポリゴンの中に入れたボーンを動かすことによって実現します。なお、スケルタル・アニメーションは、スキンメッシュ・アニメーションやボーンアニメーションとも呼ばれます。

2.モーション・キャプチャ

図4
 ここでみなさんは、「ボーンを動かせばポリゴンも連動して動くことは分かったが、肝心のボーンはどうやって動かすのだろう」と疑問に思った方もいらっしゃることでしょう。実は、図2や図3では、Blenderの中でマウスを使ってボーンを動かしました。この作業を「モーション付け」といいます。ということは、トイストーリーに登場するウッディやバズ・ライトイヤーも人の手によってひとつひとつモーション付けがなされたのだろうかとさらに疑問が湧いてきます。実は、基本的な動きは「モーション・キャプチャ」によってモーション付けされ、モーションの微調整は人の手によって行われるそうです。

ここで、モーション・キャプチャについて簡単に説明します。モーションは「動き」、キャプチャは「とらえる」という意味です。つまり、実際の人間(動物の場合もある)の動きをキャプチャ装置によってとらえ、その動き(モーション)をCG内の各ボーンに反映させることによって、まるで人間のようにCGを動かすことができるわけです。ウッディやバズ・ライトイヤーがいきいきとして演技をするのは、モーション・キャプチャのお陰なんです。

さて、これまでモーション・キャプチャ装置は、非常に高価であったため個人で手が出せるような代物ではありませんでした。しかし、近年AI(Artificial Intelligence:人工知能)を応用することにより1台のカメラとPCさえあれば簡単にモーション・キャプチャができるようになりました。図4は、ノート型PCに内蔵されたカメラとBlenderのモーション・キャプチャ・アドオン(アドオンは機能を追加するための仕組み)を使って実際にモーション・キャプチャを行っている様子です。まだまだ完全ではありませんが、これを使えば、誰でも簡単にモーション付けすることが可能となります。なお、図4のアドオンでは、顔の表情をキャプチャする機能も搭載されているため口やまぶたの動きもとらえることができます。

みなさんもノートパソコンがあればできますので、興味のある人はぜひチャレンジしてみてください。

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