2023/03/29 教育学科
教育コラム:新聞を活用して振り返るコロナ禍の3年間
初等教育専攻 三浦和美 教授(小学校社会科教育)
ゼミにおける新聞を活用した学び
① 天声人語書き写しノート:「天声人語」を書き写し、題名を付ける、語句の意味を調べる、感想をまとめるなどの多様な学習を行っています。
② NEWSスクラップ:週交代で1名が新聞記事を題材にスクラップ記事を作成し、ゼミ冒頭で発表します。作成した記事は研究室廊下掲示板に1週間掲示されます。22年度は感染対策のため、4年生のみと掲示としました。
③ 集団討論:3年次から始まる採用試験に向けた集団討論の練習では、週ごとに1名が新聞記事から話題を見つけ問題提起を行います。「不登校が過去最多」「はだしのゲン削除」「デジタル教科書導入」など喫緊の教育課題を取り上げて討論が続けられています。
毎回の記事選定は学生個人に任せられていますが、それぞれ「教育」や「社会科」等に関連した内容を取り上げており、意見交換する中でさらに深い問題意識も醸成されています。
① ②は3学年共通、③は3年後期から4年前期にかけて行っています。
新聞記事からコロナ禍の3年間を振り返る試み
2022年度最後のゼミでは、3学年ごとに朝日新聞「コロナを生きた3年間」(2023年1月15日付)を基に意見を付箋紙に書き、さらに討論を行いました。
意見をいくつか抜粋して紹介します。
4年生(大学2年から大学4年まで)
〇コロナ生活を通して、人と関われることがどんなに幸せなことだったのか気づきました。オンライン授業が多い時は寂しさを感じたり、話しづらさを感じたりしました。不登校が増えてしまった原因も「楽しさ」が減ったからだと思います。(4月から)教員として次は楽しみを生み出せるよう努力したいと思います。
〇2020年はもう少しいろいろなものに挑戦すればよかったと後悔をしました。ただ、コロナ禍だったからこそ得ることができた学びも多くありました。「貴重な学び」を無駄にせず、これからの自分の糧にしていきたいと思います。
3年生(大学1年から大学3年まで)
〇コロナ禍とともに始まった大学生活、思っていた大学生活との違いにとまどいも多くありました。しかし、オンラインでの授業、感染対策を徹底しながらの授業やボランティア活動など、制限はありながらも教員としての一歩を踏み出すことができている、どんな状況であっても悪い方へと考えるのではなく、どうすれば進むことができるのか、考える力が大切だということに気づきました、この気持ちをこれからも大切にしたいと思います。
〇未知のウイルスにおびえながら、完全オンライン授業の毎日を過ごした大学1年生の前期と比べると、今だ制限はあるものの、こうして大学へ通うことができていることに喜びを感じます。授業づくりや専門的知識を学ぶことに加え、“人との関わり合う大切さ”について子どもたちと気持ちを共有できる教員になりたいと、コロナ禍を過ごして強く思います。
2年生(高校3年生から大学2年生まで)
〇人生でもう二度と経験することがないであろうパンデミックを経て、自分たちの生活も大きく変わりました。このコロナ禍ではさまざまなものが失われていきましたが、逆に経験という何にも変えがたいものを得ることができました。今後似たようなパンデミックや日常生活を脅かす現象が起こったとしても、この経験を基に対応していける人間になりたいと思います。
〇わたしたちが大学の受験生となった年からコロナという未知の脅威が現れ、早3年が経とうとしています。感染は収まることなく、今では生活の中に浸透しつつあります。教育においても、コロナ禍がもたらした恩恵・問題が多くありました。ICTの普及やオンライン授業の導入などの恩恵の一方で、不登校者や自殺者の増加などの問題も出始めました。常に社会は目まぐるしく変化していくことを痛感させたコロナウイルス。わたしたちはそんな社会で生きていくために、より柔軟な考えを持つことが必要であると強く思いました。
これから教育に活かすために
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