2022/09/21 福祉心理学科 研究

【学び】外部講師を招いた特別演習を実施 / 犯罪心理学ゼミ

福祉心理学科では、理論知と実践知を融合した『心理実践力』を身につけた学生の育成に取り組んでいます。

半澤利一准教授(犯罪心理学)のゼミでは、仙台駅東口キャンパスに仙台家庭裁判所の家庭裁判所調査官をお招きし、7月22日午後6時から「夜ゼミⅤ~司法臨床・家裁調査官の仕事②」と題した特別演習を行っていただきました。今回は、2018年に本学を卒業して家裁調査官になった先輩が講師となり、モデル事例に基づいた講義と討議を通じて、少年理解の方法や家族に対する働きかけなど実践的な方法を教えてくださいました。


受講生の感想

『グループ討議を通して3・4年生の意見に触れ、自分では思いつかないような考えを聞くことができてとても良い経験になりました。少ない情報からいくつもの状況を推定して、そこからさらに情報を集め、少年が非行に走ってしまった背景を明らかにしていく家裁調査官の仕事も疑似体験できたようで、家裁調査官に関して理解が深まりました。(福祉心理学科2年)』

『この演習を通して、「更生とは人生を取り戻すことなのではないか」と考えるようになりました。問題となっている行動に目をむけ、それを止めさせるための解決方法を探るのではなく、その行動に至った原因や心情を理解し、家族の力も合わせて改善していく。また、問題行動を起こす前の、悩みや葛藤を抱えていた時期にまで遡り、それらを解消することで生まれる空白の時間を、人々とのつながりや様々な体験を通して埋めていく。このことが更生、つまり人生を取り戻すということであり、社会内処遇の最大の役目なのではないか、これは社会福祉分野にも通じるものと捉え、この大学で司法犯罪分野を学べる意義を改めて感じました。(社会福祉学科2年)』
『講師からモデルケースの少年の知的な未熟さについて情報提供を受けた際、自分は今までの学びから家庭環境や愛着形成にばかり着目しがちであることに気付いた。対人トラブルや知的な未熟さから自信を失い、周囲の人間となじめないことから孤立につながるというリスクについて以前座学で学んだが、実際の討議では思いつかなかった。今回のように身につけた知識を実践的に組み立てて発表する場があることは、これから他の心理職を目指す私にとっても、自分の知識や考え方の偏りに気づくことができる良い機会であったと思う。学習して知識を得ることは心理に関わる職を目指す上で必要なことであるが、知識が偏ることによって先入観となってしまうこともある。この点については留意しておくべきだと感じた。(福祉心理学科3年)』
『グループ討議を進めていく中で、自分では考えつかなかったような仮説や推測を他のメンバーが発言することが多々ありました。多様な意見を聞き、非行の要因や少年の背景事情に対するあらゆる可能性を考慮し、物事を多角的にとらえることが事例検討の醍醐味であり、非行のメカニズムの分析を行うにあたって大切なことなのではないかと考えました。自らの考えに対して「なんとなく」や「そういうものだから」といった漠然とした捉え方をせず、一つひとつに根拠を持たせることで、その後の実践に説得力が生まれてくるため重要だと思いました。根拠に基づいた実践を行うという行為は、私が目指す社会福祉士や精神保健福祉士にも求められていく専門職としての資質だと考えます。(社会福祉学科3年)』 
『自分ひとりで考えるには難しいこともあると思います。しかし、家裁調査官と意見を交換し合うことで今まで自分の中にはなかった視点を学ぶことができ、それが新しい知識として取り入れ活用する、私たちがゼミで行っているグループ討議で経験することと共通するなと思いました。面接調査における教育的働きかけの中で TEG などの心理テストも行い、少年がどのような性格の傾向があるのかを知った上で周囲の環境に着目し、少年自身が今後どのような道を進めば良いのかを判断していく重要性を調査官の講義やグループ討議から学びました。(福祉心理学科4年)』
 
『生活歴を含むアセスメントの結果から、少年の特性や性格を理解し、その課題と更生を目指すためのプログラムを柔軟に検討することはもちろん、少年の心が表れる「言葉」や、「言葉にならない声」、「態度」に丁寧に関わっていく必要性を確認できました。一つの発言や行動の感情、背景に焦点をあて、良い・悪いに拘らずに多角的な視点から「それはなぜか」を深堀りしていくことが必要で、その際に少年との距離感やコミュニケーションの取り方が非常に重要になると感じました。また、対応には知識や技術のみならず人柄や冷静さも大切で、自分自身の性格を踏まえ、いつどのような場面で感情的になりやすいか、自身のストレングスがどういった場面でどう生かされるのかを分析したり、マネジメントしておけば、対話の際に自分の資源を活用してできる判断や対応の可能性を最大限に広げていけるのではないかと考えました。(社会福祉学科4年)』

※TEGとはTokyo University Egogram(東大式エゴグラム)の略です。交流分析理論に基づいた心理検査のひとつです。
※感想は抜粋です。 

関連ページ

この記事に関するお問い合わせ

教務部教務課
住所:〒981-8522 宮城県仙台市青葉区国見1−8−1
TEL:022-717-3315
FAX:022-301-1280
E-Mail:kyomu@tfu.ac.jp