2023/01/17 福祉心理学科 研究

【学び】外部講師を招いた合同ゼミを実施 / 犯罪心理学ゼミ

福祉心理学科では、理論知と実践知を融合した『心理実践力』を身につけた学生の育成に取り組んでいます。

半澤利一准教授(犯罪心理学)のゼミでは、2022年11月16日と30日の2回にわたり、2・3学年合同で「合同ゼミ① 法務省インターンシップ(少年鑑別所)」と「合同ゼミ➁ 法務省インターンシップ(少年院)」を開催しました。

毎年、法務省夏季インターンシップとして、3年ゼミ生複数名が、仙台・福島・青森など各県にある少年鑑別所や仙台市若林区にある東北少年院と青葉女子学園に1~3日間の見学や実習に出向き、その体験報告を行います。さらに今回は、仙台少年鑑別所の矯正心理職の方や東北少年院・青葉女子学園の法務教官お二人もお招きし、体験報告へのコメントや専門的なご指導をいただきました。


受講生の感想

『2回の合同ゼミを通して、共通して感じたことがあります。3年生の発表時の「話し方」についてです。手元にメモを持ちながらもそれを頼りにせず、聞いている人の目をしっかりと見ながら話していることが印象的でした。声も大変聞き取りやすかったです。スライドの中にある問いかけの部分も分かりやすい問題が提示され、考えさせられることがたくさんあるなと感じました。自分たちも、このような発表を目指していきたいです。(福祉心理学科2年)』

『少年の背景に着目してどのように目標へアプローチさせていくか、更に施設から出た後の生き方をどう保証するか、という意味では、施設での指導や行動観察などを通して個人のストレングスを見出し、それをどう生かすかを本人に学ばせる必要があると感じました。少年院においては問題の個別性に対応する教育が必要不可欠です。特に大切なのは「もう一回、ちゃんと自分の人生を生きてみよう」と思わせることだと感じました。正解のない仕事だからこそ少年の特性に応じた柔軟な対応が求められるのと同時に、唯一無二の存在である個々人に向き合うプロフェッショナルになるため、これからも学びを積み重ねて行く必要があると感じました。(社会福祉学科2年)』

『母子密着について討議した際、少年の自尊心の低さが指摘され、何かに取り組みそれを達成させることが自尊心の向上につながるのでは、という3年生の意見に感心しました。グループ討議では別の視点からの意見もたくさん聞くことができましたが、原因から対策までしっかり考えられる先輩たちの姿勢に学びました。(社会福祉学科2年)』
『法務教官のお話では、少年院の雰囲気、教育・指導の特徴、1日の流れや各機関について詳しく説明してくださった他、ご自分が就職する前に抱いていた少年院へのイメージや、働いてから感じたことなどもお話してくださり、仕事に対する思いや熱量を感じました。実際に少年院で働いている方のお話を聞くことができる機会はほとんどないので、とても貴重な体験でした。(社会福祉学科2年)』

『「この類の非行を行う少年に多い考え方などの特徴はどのようなものか」という大まかな傾向を捉えた上で、各非行に至った少年の家庭環境、性格傾向、長所に着目して個別の矯正教育プログラムを組むという仕組みはマクロからミクロの視点であり、ある程度の傾向を想定しながらも完全なパターン化が難しいため個別の対応が必要になるという点において、普段学習している福祉の仕組みと通ずるところがあると感じた。また、私自身は法務教官を目指しているわけではないが、「〇〇という行動をする人間が何を考えているのか」、「行動の理由、原理は何か」、「それを抑えるためにはどのような対処が効果的か」といったテーマに関心を持っているため、今回の講話は特に興味深いものだった。(社会福祉学科2年)』


『法務教官の講話中、私は「親から不適切な関わり方をされて育ってきた少年にとって、少年院の職員の方々は初めて出会う”話を聞いてくれる大人”になると思うが、そういった少年たちからの転移、依存にどのように対処するのか」という疑問を抱いた。終了後に尋ねたところ、「何でも『先生、先生』と頼ってくる子たちは多い。ほとんどの少年がそうなんじゃないかって言うぐらいだが、そういう場合は、少年たちから出てくる言葉は否定しないまま、適切な距離感について少年に尋ね、依存や異常に気付かせる。」との回答を頂いた。少年たちに信頼されることは必要不可欠だが、それが強すぎているときにも、向けられた好意を拒まずに対処しなければならない立場を維持するのは難しい仕事であると感じた。(福祉心理学科3年)』




『法務教官の話の中で、「もし自分が少年たちの処遇をしていなければもっと被害者が出ていたかもしれない」という話が印象に残りました。私自身ゼミに入った当初、警察官になりたいと考えていて、とにかく犯罪をした人を捕まえて、被害者や被害者家族に寄り添い、無念を晴らしてあげたいと思っていました。そのため、罪を犯した少年たちの更生支援に疑問を抱いていました。だからこそ、自分が更生支援に納得することができるようになるのが4年生までに達成したい目標でしたが、いまひとつ答えを導き出すことができずにいたところ、今回、その言葉を聞いて少し見えてきたと思いました。まだ完璧には答えは出せていませんが、今回のお話をこれからの学びに生かしていきたいと思います。(福祉心理学科3年)』
 
『職業訓練に特化している東北少年院で再犯率が低いということを知り、退院後の環境を整える大切さを感じた。また、青葉女子学園では自分の気持ちを適切に表現できるよう支援することを重視しており、女子少年が抱えやすい問題性を踏まえた支援が行われているとのことから、他の少年院の特徴や工夫についても知りたいと思った。そして、母子密着について考えさせられたが、愛着の大切さを感じるとともに他者と信頼関係を作れるように支援することや自分で決められるように支援すること、親子共に心理教育的働きかけをすることなどが大切であると学んだ。グループ討議により母子密着について多様な意見や対応があることが分かったが、この経験から、人と話し合うことによって支援の幅が広がるのではないかと考えた。(福祉心理学科3年)』

※感想は抜粋です。 

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