戦略的研究基盤形成支援事業 「東日本大震災を契機とする地域の健康福祉システムの再構築」

事業期間:平成24年度~28年度

目的

東日本大震災は、地震・津波・原発事故が複合し、広域にわたって生活基盤に関わるほとんどの諸条件と家族や地域社会を崩壊させる壊滅的被害をもたらした。 健康や福祉領域に関しても、諸施設の消失や諸制度の機能停止だけではなく、それらを支える諸条件も大きく毀損した。

加えて、被災地における健康福祉システムの再建は、被災前に様々の諸課題を内包していた上に、被災によって新たな諸課題が付加され、課題対応のための人的・物的および社会的資源は大きく減殺さ れていることから、現状への復帰ではありえない。そうした事態に直面して、建設的な対応策を模索し、「健康福祉システム」の再構築を如何に図るべきかの道筋を展望することが、本プロジェクトの目的である。

今次の大災害が広範囲の地域に「生きる」とは何かが問われる実存的状況を現出したため、問題を体系的に捉える全体論的アプローチが要請されるが、検討すべき問題点が多岐にわたるため、本プロジェクトの審査時に付された「留意事項」の指摘に従い、研究戦略の明確化を図った。

その作業を経て、本プロジェクトは、今次災害の諸特徴と被災地域の特性から、地域の現場的視点に立ち、かつ、今なお過酷な状況にあり、地域社会の復興にとって枢要な「災害弱者」の復興に焦点をあて、長期化する復興過程で継時的に顕在化する諸課題を地域の諸条件の構造的脈絡に則って捉え、それらの知見を関連付け、総合化する理論的枠組みの検討をも通じ、復興に向けた「地域健康福祉システム」の再構築をより動態的・立体的に描くという手順で進めることとした。

研究事業の内容

本プロジェクトでは、健康や福祉に関わる諸問題への種々の取り組みが展開される世界を「健康福祉システム」として概念化し、加えて、それを国家がサイバネティックな頭脳として作動する管理システムよりも、地域の現場で個人や集団の参加領域を拡充する学習システムとして捉える視点に立っている。同時に「災害弱者」を含めて地域住民を健康福祉サービスの一方向的な受け手としてだけではなく、システムの形成に能動的に関わる参加者としても捉えることから、健康と福祉に関する理解やそれらの向上に向けた技能を「健康福祉リテラシー」として概念化している。

その上で、本研究プロジェクトの課題達成に向け、問題連関と 共同研究の実効的な遂行という点から、相互に関連する大きな部分集合として、3つの作業グループ—健康福祉をめぐる災害前及び災害後の諸問題や諸課題を全体論的に把握するための方法論を検討する、G1「地域健康福祉に関するシステム論的分析法の開発」;健康福祉サービスのサプライサイドに焦点をあて、今次大災害からのインパクトと復旧・復興過程で生じた諸問題の解決条件と方策を探索する、G2「地域健康福祉システムの再構築のための諸方策と戦略の案出」;健康福祉サービスのデマンドサイドに焦点をあて、大災害のインパクトの負の連鎖を断ち切るだけでなく、試練を乗り越え新たな挑戦に赴くことを促す、G3「健康福祉リテラシーの向上と社会関係資本の育成策の開発」を設定した。

次いで、各グループの研究目的を具体化するため、焦点を明確に定める研究実行チームを設けた。

研究グループ紹介

G1:健康福祉システムの理論的研究

—地域健康福祉に関するシステム論的分析法の開発—

研究チームリーダー 職位 プロジェクトでの研究課題
関田康慶 教授 健康福祉システムの理論的研究 —地域健康福祉に関するシステム論的分析法の開発—
塩村公子 教授 「災害」が社会福祉、ソーシャルワークに与えた衝撃とそれへの対応に関する研究

 

G2:被災地の健康福祉システムの再構築のための事例研究

—地域健康福祉システムの再構築のための諸方策と戦略の案出—

研究チームリーダー 職位 プロジェクトでの研究課題
赤塚俊治 教授 地域住民を主体とした健康福祉計画における関係機関の連携システム構築に関する研究
阿部裕二 教授 災害時における地域包括ケアシステムの構築に向けて
富澤弥生 准教授 復興過程における被災住民の生活の実態と健康課題に関する研究
岡正彦 教授 災害ボランティア受入体制の構築と一般モデルの実現性の検討
斎藤仙邦 教授 東日本大震災と津波災害からの復興に与える寺院を中心とした地域ネットワークの影響
西野美佐子 教授 東日本大震災への「心のケア」~「教師・保護者支援」と「こども・家族支援」と「生きる力の社会的支援」~
尹永洙 准教授 緊急災害時における官民協働の国際比較~我が国の消防団と韓国の民防衛との比較を通じて~
和田明人 教授 被災地に求められる子育て支援に関する研究
渡部芳彦 准教授 「被災経験の語り部」養成を通じた地域健康福祉の復興に関する研究
渡部純夫 教授 福島を中心にした、子ども・保護者の心の癒しと、後方支援サポートの在り方
小関健由 東北大学
教授
口腔保健推進のためのセルフケアとプロフェッショナルケアを繋ぐコミュニティーヘルスケアシステムの再構築
生田目学文 教授 原子力災害への対応~Nuclear Disaster Response~

 

G3:被災住民の健康福祉増進のための実践的事例研究

—健康福祉リテラシーの向上と社会関係資本の育成策の開発—

研究チームリーダー 職位 プロジェクトでの研究課題
三浦剛 教授 当事者参加による障がい児者地域生活支援システム設計と運営のためのコンサルテーションが地域の健康福祉リテラシー向上に与える影響に関する研究
阿部一彦 教授  東日本大震災が障害児者、高齢障害者とのその家族にもたらした生活課題と今後の復興への取り組み
加藤伸司 教授 離島地域における災害支援に向けた地域介入モデルに関する研究
阿部利江 助教 人と人とをつなぐ災害支援ボランティアコーディネート—被災地の復興を目指した社会福祉システムの検証—
江尻行男 教授 水産業の復興と地域再生
山口政人 准教授 被災地域・中山間地でのコミュニティの再生と1次産業の復興
金政信 教授  コミュニティビジネスと地域振興—被災地における小さなビジネスが果たす復興への役割と課題—
光永輝彦 特任教授 カウンセリングエステの実践研究の視点からの「地域住民の健康・福祉リテラシー向上・社会関係資本育成」の実践研究
鈴木玲子 特任准教授  被災地高齢者における心身ともに回復を図る運動プログラムの開発と人材育成システム開発研究
水野康 准教授 避難所等における睡眠に関する研究
大城泰造 准教授 避難所における臨床美術の実践研究
丹波史紀 福島大学
准教授 
ふくしまにおける避難所運営と子ども支援に関する調査研究
※職位については、2017年3月31日時点

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この記事に関するお問い合わせ

感性福祉研究所
住所:〒989-3201 宮城県仙台市青葉区国見ケ丘6−149−1 国見ケ丘第1キャンパス
TEL:022-728-6000
FAX:022-728-6040
E-Mail:kannsei@tfu-mail.tfu.ac.jp
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