社会福祉学は社会の発展に伴い、時代的使命を担う社会科学の新しい「学」として発展しなければなりません。社会福祉の現代の課題は、旧態依然たる社会福祉観では、対応できなくなっています。環境問題までも含め、これまでの社会福祉学の歩みを、歴史的に、また合理的に究明すると同時に、「目的としての人間」を限りなく追求する社会福祉の哲学がなされなければなりません。
科学としての社会福祉学は「あるがままの姿(to be)」を実証的に検証すると同時に、「あるべき夢(ought to be)」を限りなく追求する任務を担っています。このことは、政治体系、経済体系の変革を引き起こし、ひいては人間の価値体系の転換を迫るものとなるでしょう。21世紀を担うものとして社会福祉学の存在意義がここにあります。
「あるべき福祉」の追求が社会福祉の哲学であり、限りなき努力の目標であること、体験から生まれる哲学的思想こそが社会科学としての社会福祉学のベースであることを、歴史的、哲学的視点から明らかにします。さらに、重要な現実の社会問題と政策についても具体的に考えます。
課題1 |
現代社会における社会福祉学の課題を取り上げ、それらを論評しなさい。 |
課題2 |
社会福祉学(社会事業論、救済事業論及び慈善事業論を含む)の学説、所説を一つ取り上げ、それを論評しなさい。 |
課題1
解説 |
現代社会の諸問題のうち何を社会福祉学の課題とするのか、否か、が社会福祉学を研究する上で、重要な分岐点となります。
広く諸科学の動向をも概観(難しいことですが)しながら、社会福祉学の対象を見つけてください。 |
課題2
解説 |
社会福祉学の先行研究を大切にしてください。
温故知新です。自らの社会福祉観を創出するためにも、先行する優れた理論を丁寧に学んでください。 |
(赤字=大学から送付される必読図書)
- 古川孝順『社会福祉学序説』有斐閣、1994年
- 松井二郎『社会福祉理論の再検討』ミネルヴァ書房、1992年
- 宮田和明『現代日本社会福祉政策論』ミネルヴァ書房、1996年
- 真田是編著『戦後日本社会福祉論争』法律文化社、1979年
- 吉田久一『日本社会福祉理論史』勁草書房、1995年
- 濱野一郎・遠藤興一『社会福祉の原理と思想』岩崎学術出版社、1998年
- 吉田久一『日本の社会福祉思想論』勁草書房、1994年
- 吉田久一・岡田英己子『社会福祉思想入門』勁草書房、2000年
- 社会福祉古典叢書(全10巻)鳳書院
『井上友一集』、『小河滋次郎集』、『賀川豊彦集』、『生江孝之集』、『田子一民・山崎巖集』、『渡辺海旭・矢吹慶輝・小沢一・高田慎吾集』、『海野幸徳集』、『志賀志那人・山口正集』、『大河内一男・風早八十二・河上貫一・大林宗嗣集』、『安部磯雄・竹中勝男集』
- 竹中勝男『社会福祉研究』関書院、1950年、復刻版 日本図書センター
- 日本社会事業専門学校編『現代社会事業の基礎』日本社会事業協会、1950年、復刻版 日本図書センター
- 大阪社会事業短期大学編『社会事業講座(1〜3巻)』福祉春秋社、1950年、復刻版 日本図書センター
- 黒木利克『日本社会事業現代化論』全国社会福祉協議会、1958年、復刻版 日本図書センター
- 竹内愛二『専門社会事業研究』弘文堂、1959年、復刻版 日本図書センター
- 孝橋正一『全訂・社会事業の基本問題』ミネルヴァ書房、1962年
- 岡村重夫『全訂・社会福祉学(総論)』柴田書店、1968年
- 一番ヶ瀨康子『現代社会福祉論』時潮社、1971年
- 木田徹郎『改訂・社会福祉概論』新日本法規出版、1971年
- 塚本哲『社会福祉原理論』ミネルヴァ書房、1972年
- 高沢武司『過渡期の社会福祉状況』ミネルヴァ書房、1973年、復刻版 日本図書センター
- 高島進『現代の社会福祉理論』ミネルヴァ書房、1973年
- 真田是『社会福祉労働論』法律文化社、1975年
- 嶋田啓一郎『社会福祉体系論』ミネルヴァ書房、1980年
- 三浦文夫『社会福祉政策研究−社会福祉経営論ノート』全国社会福祉協議会、1985年
- 日本社会福祉学会『社会福祉学研究の50年』ミネルヴァ書房、2004年
- 池田敬正『福祉原論を考える』高菅出版、2005年
- 竹原健二『現代福祉学の探求(第二版)』学文社、2005年
- 古川孝順『社会福祉原論(第二版)』誠信書房、2005年
- 萩野浩基『感性のとき』ぎょうせい、2006年