科目別ガイドブック 2007

社会福祉学専攻

社会保障演習

担当教員● 阿部 裕二
2単位SR1・2年

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テーマ

社会保障の理念・価値と制度研究

本講座では、「社会保障研究」において理解された内容を踏まえて、社会保障制度の現状と課題を分析することを目的とする。つまり、「社会保障研究」において、院生は社会保障における理念や価値を巡る論争を理解し、あるべき社会保障の全体像を構築したが、それらを踏まえて本演習では、社会保障の個々の制度・政策・システムのあり方に関して理解を深めていく。

なお、院生が個々に定めた研究テーマに即して、当該テーマを多面的あるいは総合的に考察できる「見通す力」(パースペクティブ)の習得も本演習の目的である。

■研究の視点

  1. 社会保障の体系の把握と理解(わが国、諸外国)
  2. 所得保障の現状と課題の分析
  3. 医療保障の現状と課題の分析
  4. 生活障害保障の現状と課題の分析
  5. 社会保障と(生活)環境政策の統合の現状と課題の分析 など

スクーリングの事前課題

スクーリングまでに以下の事項に取り組んでおくこと。

  1. 「社会保障研究」のレポート課題の再確認と理解。
    この点に関しては、スクーリング時に議論のテーマの一つとなる。
  2. 下記の文献の幾つかを読み、その要約と自らの研究課題(テーマ)との関連をまとめ て、スクーリング時に持参すること(スクーリングの際に、各自に報告を求めるので、 事前にレジュメを作成して持参すること。それを素材にしながら他の演習生とともに 議論したい)。
    1. 足立正樹編著『新版各国の社会保障』法律文化社、1995年
    2. 健康保険連合会編『社会保障年鑑2005年版』東洋経済新報社、2005年
    3. 佐口卓・土田武史『社会保障概説(第4版)』光生館、2003年
    4. 広井良典・駒村康平編『アジアの社会保障』東京大学出版会、2003年
    5. 堀勝洋編『社会保障読本(第3版)』東洋経済新報社、2004年
    6. 森健一・阿部裕二編著『構造的転換期の社会保障——その理論と現実』中央法規出版、2002年

スクーリングの事後課題

課題1

  1. 所得保障制度の現状と課題を分析しなさい。
  2. 医療保障制度の現状と課題を分析しなさい。
  3. 生活障害(介護)保障制度の現状と課題を分析しなさい。

アドバイス

課題1-1
解説

所得保障の体系としては、「社会手当」、「年金」、「生活保護」、「雇用保険」などが挙げられるが、その一つを取り上げ、給付水準や費用負担、管理運営などの現状と課題を分析する。その際、単に制度の現状と課題を取り上げるのではなく、所得保障の中にどのように位置づけられるのかという視点をもって取り組んで欲しい。

課題1-2
解説

医療保障の体系の体系としては、「医療保険」、「医療扶助」、「公費負担医療」などがあるが、これらを総体として、医療保障の質や財政、制度体系などの視点からどのような現状と課題があるかを分析すること。その際、高齢者医療を含めて、近年医療にかかわる議論が盛んに行われているが、この点に関する自己の見解も述べて欲しい。

課題1-3
解説

生活障害保障の体系は、一般的には福祉サービス全般を含むと理解されているが、ここでは「介護」に限定している。したがって、「介護保障」を言い換えてもよいと思われる。介護保障の体系としては、言うまでもなく「介護保険」が中心となるが、これだけで介護保障が成立するわけではなく、それ以外の福祉サービスもかかわらざるを得ない。このような視点から、福祉サービスの利用方法やサービスの提供体制、利用者負担などの「介護保障」の現状と課題を分析することが肝要である。

参考文献

 参考文献に関しては、スクーリングの事前課題を参照のこと。その他、図書館、書店において興味のある書籍を探したり、インターネットにおいて検索することも有用である。