芸術作品の癒し効果──その生理・心理学的研究
ストレス社会にあって、人々は今さまざまな方法で癒しを求めているが、音楽や絵画、彫刻などの芸術作品は、私たちに心の安らぎと感性への栄養を与えてくれる。このような芸術作品の効果は、必ずしもすべての人々に共通のものではなく、人それぞれの好みがあるわけで、これはまさにその人の感性によるものと思われる。
この演習では、さまざまな心理学的測定技法と、脳波や心拍、呼吸、唾液中のストレス物質などの生理、生化学的指標を測定・記録することによって、芸術作品の効果を明らかにする。
■研究の視点
- 疲労とストレス、その生理・心理学的背景
- 人はどのようなものに美しさや快を感ずるか
- 感性と知性
- 創作とカタルシス
- 感性の生理・心理学的測定
自分の好きな音楽3曲(テープまたはCD、ジャンルは問わない)と、好きな絵画3枚(カラーコピー)を持参。
課題1 |
面接法により、高齢者(65歳以上)の音楽嗜好と、音楽が心身に及ぼす効果について調べなさい。 |
- 65歳以上の高齢者5名以上にインタビューし、今好きな音楽を5曲、ジャンルを問わずあげてもらい、好きな順に順位をつける。
- 次に以下の点について質問を行う。
- それらの音楽に関する感想
- その音楽を聴くと心身の状態がどうなるか
- その音楽からどのようなことを連想(あるいはイメージ)するか
- 音楽に対する好みが変わったならそれは人生のいつ頃か
などなど。これら以外にも自分の工夫で面接調査を行い、課題について自分の考えを述べること。
(赤字=大学から送付される必読図書)
- Arnheim,R. Toward a Psychology of Art. 上 昭二(訳)1987『芸術心理学のために』ダヴィッド社
- Arnheim, R. New Essays on the Psychology of Art. 関 計夫(訳)1987『芸術心理学』池湧社
- 行場次朗・箱田裕司 2000『知性と感性の心理』福村出版
- 鈴木浩明 1999『快適さを測る』 日本出版サービス
- 辻 三郎 1997『感性の科学』 サイエンス社
- 日野原重明 1998『音楽の癒しのちから』 春秋社
- 畑山俊輝 2005『感情心理学 パースペクティヴ』北大路書房
- Botwinick, J. We Are Aging. 村山冴子ほか訳 1987『老いの科学』ミネルヴァ書房