科目別ガイドブック 2007

福祉心理学専攻

福祉心理学研究演習II

担当教員● 小松  紘
2単位SR1・2年

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テーマ

芸術作品の癒し効果──その生理・心理学的研究

ストレス社会にあって、人々は今さまざまな方法で癒しを求めているが、音楽や絵画、彫刻などの芸術作品は、私たちに心の安らぎと感性への栄養を与えてくれる。このような芸術作品の効果は、必ずしもすべての人々に共通のものではなく、人それぞれの好みがあるわけで、これはまさにその人の感性によるものと思われる。

この演習では、さまざまな心理学的測定技法と、脳波や心拍、呼吸、唾液中のストレス物質などの生理、生化学的指標を測定・記録することによって、芸術作品の効果を明らかにする。

■研究の視点

  1. 疲労とストレス、その生理・心理学的背景
  2. 人はどのようなものに美しさや快を感ずるか
  3. 感性と知性
  4. 創作とカタルシス
  5. 感性の生理・心理学的測定

スクーリング前の準備

自分の好きな音楽3曲(テープまたはCD、ジャンルは問わない)と、好きな絵画3枚(カラーコピー)を持参。

スクーリングの事後課題

課題1

面接法により、高齢者(65歳以上)の音楽嗜好と、音楽が心身に及ぼす効果について調べなさい。

アドバイス

  1. 65歳以上の高齢者5名以上にインタビューし、今好きな音楽を5曲、ジャンルを問わずあげてもらい、好きな順に順位をつける。
  2. 次に以下の点について質問を行う。
    • それらの音楽に関する感想
    • その音楽を聴くと心身の状態がどうなるか
    • その音楽からどのようなことを連想(あるいはイメージ)するか
    • 音楽に対する好みが変わったならそれは人生のいつ頃か
    などなど。これら以外にも自分の工夫で面接調査を行い、課題について自分の考えを述べること。

参考文献

赤字=大学から送付される必読図書)

  1. Arnheim,R. Toward a Psychology of Art. 上 昭二(訳)1987『芸術心理学のために』ダヴィッド社
  2. Arnheim, R. New Essays on the Psychology of Art. 関 計夫(訳)1987『芸術心理学』池湧社
  3. 行場次朗・箱田裕司 2000『知性と感性の心理』福村出版
  4. 鈴木浩明 1999『快適さを測る』 日本出版サービス
  5. 辻 三郎 1997『感性の科学』 サイエンス社
  6. 日野原重明 1998『音楽の癒しのちから』 春秋社
  7. 畑山俊輝 2005『感情心理学 パースペクティヴ』北大路書房
  8. Botwinick, J. We Are Aging. 村山冴子ほか訳 1987『老いの科学』ミネルヴァ書房