講師を務めた石塚氏(左)と瀧井氏
石塚氏はあいさつで「高齢化が急速に進み、受刑者の20%が65歳以上になろうとしています」と、これまで世間ではあまり目が向けられなかった問題に触れました。瀧井氏は、矯正についてや所管施設である刑務所の説明から開始。「受刑者がもう1回社会に出て自立して、1人の社会人として過ごせるお手伝いをしている」と仕事の意義を話しました。
続けて矯正の現状を説明。平成25年までの10年間で受刑者は減少している中、「60歳以上の高齢者は10年で2倍増えました。最近は認知症の人もすごく増えています」「うつや統合失調症など、精神的障がい者は8年で2倍になっています」などと、施設が抱える問題を続けました。介護未経験だった瀧井氏は、テレビや本で方法を学び、受刑者の介護を行った経験も語りました。
施設内での要介護者の様子を説明する瀧井氏
矯正施設に福祉支援が必要と認知され出したのは、この5年ほどの話。「社会における居場所と出番をつくる」として社会復帰支援プログラムに力を注ぐ中、健康管理指導や女性受刑者向けの母親教育などで、福祉系専門職の派遣や採用が増えてきたといいます。それでも瀧井氏は「必要とする人数に対して、福祉のプロがまだ全然足りないんです」。
身寄りや居場所がなく再犯し、刑務所に戻ってくる人たちも少なくなく「そんな悲しい循環を断ち切れるのは、福祉の力だと思います。刑務所、矯正という場でも力を出せる、ということを頭の片隅に置いてほしい」と訴えました。
この日参加した学生たちは、今まで知ることの少なかった社会問題に触れ、約1時間の講義を終始真剣な表情で聞き入りました。講義後は、自身の進路も含め、講師に対し積極的に個別質問をする学生の姿も多くみられました。