今回,このACDの研究と普及を進めているKing’s College Londonの精神医学研究所とロンドン南部地域で精神医療サービスを提供するTrust(専門的な組織機構)へ,新潟医療福祉大学の野村照幸教授と2025年2月16日〜24日まで研修視察を行いました。研修視察では,ACDの研究リーダーを務めるClaire Henderson 教授による講義,現地の専門職とのACD研修への参加,そして研究チームメンバーとACDに関するミーティング等を実施しました。これは,日本人として初めてACDの研修視察を行った機会でもありました。
ACDの研究と取り組みには,Royal College of Psychiatrists(イギリス王立精神科医学会)会長のLade Smith 医師が中心的な役割を担っており,イギリス精神医学会全体でACDの普及が進められていました。
研修視察中,強制的な治療の背景に黒人への偏見や移民の問題,さらに経済的・教育的な貧困が関連していることの説明を受けました。まさに“The Personal is Social”という,個人に生じる問題の背景には社会的な課題が存在することを共有でき,ソーシャルワークの視点の重要性を感じました。
日本の精神医療においても,意思決定に関する問題が存在します。今後もこうした研究を推進していくとともに,“The Personal is Social”という視点をもとに精神医療における個人の権利擁護とその背景に存在する社会的な課題を理解し,こうした問題に取り組むことができるソーシャルワーカーの養成に努めていきます。