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福祉心理学科 広報部PR課

 「被災した者」から「記録と教訓を語り継ぐ者」へ 佐光美咲さん(福祉心理学科4年) 学生インタビュー

(※内容は2026年7月に取材したものです。)

「東日本大震災の語り部に取り組んだ大学生活」

Q. 佐光さんが東日本大震災の語り部、そして「伝承サポーター」としての活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。
A. 以前の私は伝承活動とは無縁で、震災について話すことすら避けていました。地元の福島県相馬市では、震災に触れないことがお互いへの配慮という暗黙の了解があったからです。ただ、心の底では「聞いてほしい、話したい」という想いもずっと抱えていました。
転機となったのは、大学3年次の「実学臨床教育」(注1)でのフィールドワーク選定です。阿部利江先生から「震災から15年が経過し、伝承施設や来訪者が減り補助金も打ち切られている」と聞き、今が節目の年だと感じました。被災当事者として「震災から逃げる人生を止めたい」と覚悟を決め、伝承活動の研究をテーマに選びました。
活動先に宮城県石巻市を選んだのは、地元だと感情があふれすぎて客観的な分析が難しくなると考えたためです。先生から多くの機関と繋がっている「MEET門脇(3.11メモリアルネットワーク)」をご紹介いただき、フィールドワークを開始しました。

Q. 震災の記憶を人前で話すことには勇気が必要だったと思います。一歩を踏み出す際、どのような想いがありましたか?
A. 不安もありましたが、「自分の経験が誰かの役に立つかもしれない」という気持ちが勝りました。
特に印象的だったのは、旧門脇小学校の展示で涙を流す来訪者に出会ったことです。「どうせ理解してもらえない」という思い込みが覆され、「想いを受け止めてくれる人がいるんだ」と胸が熱くなりました。ずっと閉じ込めていた記憶を解放する勇気をもらった瞬間です。
一方で、ただ体験を語るだけでは「伝承」にならないことも実感しています。想いを伝えたうえで、いかに来訪者の防災意識や行動変容に繋げるか。「被災当事者としての自分」と「伝えるガイドとしての役割」のバランスを取りながら、今も模索を続けています。

Q. 「伝承サポーター」として、普段はどのような場所・対象にどのような活動をされているのでしょうか?
A. 主に「MEET門脇」や隣接する旧門脇小学校、周辺の避難経路などでガイドを行っています。対象は修学旅行で訪れる小中高生が中心ですが、週末には一般の来訪者の方々への案内も担当しています。

Q. 震災の記憶や教訓を伝える際、最も大切にしていることや工夫はありますか?
A. 聞き手に「自分ごと」として捉えてもらうことです。他人事のままでは、具体的な防災行動には繋がりません。自分の被災体験を交えながら、「もし同じことが自分の身に起きたら」と想像してもらえるような語りかけを意識しています。一方で、話し込みすぎると感情が込み上げてしまうため、今はあえて淡々と話してしまうのが課題です。感情をコントロールしながら、参加者の心に届く伝え方を研究している最中です。




 
Q. 東北福祉大学へ進学を決めた理由を教えてください。
A. 母が高齢者施設に勤務していたため、幼少期から福祉が身近な存在でした。また、障害を持つ弟がいることから「きょうだい児」の支援、福祉の資格取得に強く関心を持ち、実家の相馬市からも近い仙台の東北福祉大学を選びました。

Q. 活動を続ける中で、特に心に残っている参加者からの言葉やエピソードはありますか?
A. 嬉しかったのは、長野県の中学生へ初めてガイドをした時のことです。緊張で覚えていないのですが、スタッフから「自分の体験談を話した瞬間、生徒たちの目の色がガラッと変わったよ」と教えられました。自分の言葉が誰かの心に届いたと実感できた忘れられない出来事です。
逆にモヤモヤとして印象に残っているのは、宮城県内の高校生を見学した際のことです。「今日は観光で来た」と話し、ガイドの問いかけにも終始無反応でした。被災地で育った同世代であっても、当事者意識には大きなギャップがあるのだと痛感し、深く考えさせられました。

Q. 大学生の語り部だからこそ伝えられる価値とは何だと思いますか?
A. 「自分たちにもできるかもしれない」と思ってもらえることです。語り部は「特別な経験をした人」や「時間のある高齢者」が行うものという固定観念を壊したいと考えています。同世代の大学生や県外出身者が活動する姿を見せることで、若い人たちが防災や伝承に関心を持つきっかけになれればと思っています。

Q. この活動を通じて、最終的にどのような社会をつくりたいですか?将来の夢や目標も教えてください。
A. 毎年3月だけメディアが震災を大きく取り上げ、時期が過ぎると一気に報道が減る現状に疑問を感じています。防災も悲しみも、3月だけの問題ではありません。
「語りたい人は気兼ねなく話せ、話したくない人の気持ちも尊重される社会」、そして「誰もが大切な人を守る方法を日常的に話し合える社会」をつくっていきたいです。

Q. 最後に、読者や本学を目指す高校生へメッセージをお願いします!
A. 伝承活動は特別な人だけのものではありません。実際に活動しているメンバーには宮城県外出身者も多く、その熱意に私自身も背中を押されました。
この記事をきっかけに、自分や大切な人の身を守ることについて少しでも考えていただけたら嬉しいです。伝承サポーターの仲間も募集していますので、ぜひ一緒に活動しましょう!

(注1)

「実学臨床教育」とは

本学の建学の精神である『行学一如』の理念を基礎として、社会福祉分野のさまざまな領域を理論(大学での講義など)と実践活動(社会福祉施設・機関などでの実践)を通し学び、『実践する力・考察する力・理論化する力』に富んだ人材を育成する本学の実践的な教育の先駆けとして生まれた教育プログラムです。

この記事に関するお問い合わせ

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