「福祉×情報技術」のユニークな視点に惹かれ、
機械オンチが、まさか情報技術の道へ。
清野さんは、どうして東北福祉大学に入学しようと思われたのですか?
受験パンフレットを読んでいて、「福祉×情報技術(ICT)」という組み合わせが新鮮で、目にとまったんです。「ICTの力で実現する福祉の世界はどんなものだろう?」。小学生のころ福祉の仕事にあこがれていたこともあって、ワクワクする気持ちが一気にふくらんで興味をかきたてられました。高校時代は文系選択で機械系に苦手意識があったものの、福祉大学自体は文系の大学だし、ここでなら私でも挑戦ができるはず、と。「面白そう」と感じた自分の気持ちを優先しようと決めて入学しました。
「福祉と情報技術の融合」に可能性を感じられたのですか?

純粋に面白いと思いました。一般的に福祉というと介護に代表されるように「支える」とか「サポートする」という意味合いが強いと思うのですが、ICTを使った福祉は「できなかったことを、できるようにするもの」だと感じました。たとえば眼球を動かすだけでキーボードを打って意思を伝えられる技術があるように、身体が不自由でこれまで人に頼んでいたことも、ICTを活用すれば自分の力でできることが増えていく。それってとても素晴らしいことで、ICTにしかできない福祉なのでは、と思ったんです。
福祉って、人やジャンルを限定することじゃない。
誰かが感じているバリアを取り外すことだと思います。
東北福祉大学で、最も心にのこっている活動はありますか?

視覚障がい者を対象とした歩行訓練のソフトウェア開発をおこなった、ゼミの時間ですね。視覚を失った方は、たとえば車の音との距離感から安全な道に移動するといったように、音を頼りに行動するのですが、社会には音が溢れているので非常に難しいんです。研究は、現実に近い音環境を作って歩行訓練に役立てるVRの開発で、福祉大がいくつもの企業や大学と共同で何年にもわたって取り組んでいる大規模なプロジェクト。入学前に読んだパンフレットにも掲載されていたので、参画できてうれしかったです。毎年、改善、改良を進めてVRを進化させていくのですが、私たちの代では感覚代行シンポジウムで奨励賞をいただけたことも、学生時代の想い出です。
すごく貴重な経験をされたのですね。大学時代はどのような学びが得られましたか?

コミュニケーションをとることの大切さ。「伝える力」は大事、でも「聞く力」はもっと大事だと学びました。私たちはICTを使って開発を行うわけですが、作り手と実際に使う人の想いが、すれちがってしまえば良いものなんてできません。相手の気持ちを聞いて、理解して、いろんな角度から物事を見て改善すること。その繰り返しが、喜ばれる物をうむ原動力になります。開発に打ち込んでいると近視眼的になりがちなので、「その先に使う人がいる」と、いつも考えるようにしています。
現在は企業でシステムエンジニアをされていますが、福祉大の学びは役立っていますか?
福祉大で4年間を過ごして福祉とは何?と考えたときに、障がい者、健常者、高齢者、子供といったカテゴリーで分けるのではなくて、枠なんかとっぱらって「誰もが身の回りにバリアを感じずに生きられること」じゃないかな、と。暮らしのことでもビジネスのことでも、誰かのバリアを取り除くことができれば福祉マインド。そんな想いもあって、福祉事業から一般企業まで多様なジャンルのシステムの開発を手がける今の会社に惹かれて入社しました。現在は企業や研究機関で使用するスーパーコンピュータの運用管理システムの改善プロジェクトに従事しています。改善の目的はICTスキルがない人が、もっと容易に使えるようになること。ICTに詳しくない人がどんな点を難しく感じるか?そのバリアをどう取り除くか?そんな視点を意識してブラッシュアップに取り組み、ゴールをめざして格闘の日々です。今はまだ社内でSEスキルを磨く段階ですが、ゆくゆくはクライアントのもとへいって、お話を直接聞いて、問題解決を提案できるようなSIer(システムインテグレーター)になりたいと思っています。
勉強も、考え方も、正解はひとつじゃない。
一人ひとりを懐深く包みこむような、大好きな母校です。
社会に出られた今、あらためて東北福祉大学の魅力は何だと思いますか?

まず、学生に寄り添ってくれること。先生も同級生や先輩後輩も、人を孤独にしないというか、自分以外のことも真剣に考えてくれる人ばかり。今も壁にぶつかった時、いちばんに会いたくなるのは福祉大の先生と仲間です。他にも魅力はいっぱいですが、しいていうなら、選択肢の多さと多様性でしょうか。福祉とひと言でいっても多数の学部があり、また同じ学部の中でもアプローチが多彩。学生の背景や個性も豊かで、これまで出会ったことのない考え方にも触れ合えて、視野が広がった自分を実感しました。人それぞれに信じるところがあって、正解はひとつじゃない。「人はちがってあたりまえ」ってそれこそ当たり前の話なのですが(笑)、それを肌で感じられる環境も、福祉大で過ごしてよかったと思えるポイントです。
最後に、いま福祉大への進学を考える受験生や高校生にメッセージをお願いします。

私自身も偶然の巡り合わせで入学しましたが、自分の将来を「こうなりたい」と思い描いて進路を考えられる人なんて、ほんの一握りだと思います。自分の夢や将来が見えずに悩むこともあるでしょうが、そのうち自分の好きなことや気になることが必ず出てくるから、どうか焦らないでください。福祉大は学生一人ひとりのやりたいこと、そして学生の将来や人生を、先生や仲間が一緒に考えてくれる、珍しいほどに温かい大学です。みなさんがこれから素敵な大学生活を送られることを祈ってます!






